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コラム:夏枯れ相場の落とし穴、震源は米国債か=岩下真理氏 | Reuters

7月前半はギリシャ問題と中国株急落という乱気流に遭遇し、相場のエネルギーを消耗したが、後半は世界的な需要減少を背景に商品市況の下落が加速している。


米国の利上げ開始が早くても9月なら、8月は材料待ちで夏枯れ相場との見方もあるようだが、筆者にとって8月のイメージは「予想外の何かが起きる」要注意の月だ。ここでは過去の事例を紹介しつつ、今夏のリスクシナリオを考えてみたい。

以上のように考えると、今夏は日銀絡みでの波乱をさほど心配する必要はなさそうだ。むしろ強く意識すべきは政治リスクだろう。16日に安保法案は強行採決衆院を通過したが、日本経済新聞社テレビ東京による24―26日の世論調査では安倍政権の支持率は初めて40%を割り、不支持率を下回った。


安保法案は27日から参院で審議入りしたが、そのほかにも複数の難題がある。28日からは環太平洋連携協定(TPP)交渉の大筋合意に向けた閣僚会合が始まる。また、早ければ8月10日にも川内原発の再稼働、8月前半には安倍首相による戦後70年談話発表が控えており、内閣支持率にいかなる影響を与えるか注意が必要だ。


加えて、8月17日発表の4―6月期実質GDPは、輸出の下振れと消費の弱さを主因にマイナス成長が見込まれる。今週末発表の6月分指標次第で、成長率予想のマイナス幅が2%台まで広がる可能性は十分にある。そうなれば、経済最優先のアベノミクスにとっては大きな逆風となろう。

最後に昨夏の原油急落から1年を経て、世界経済に与えた影響を振り返ると、当初想定ほど原油輸入国の交易条件の改善、景気のプラス面が大きく出ていない。その一方で米国エネルギー産業の痛手とその悪影響の波及、産油国の景気下振れ、物価上昇率の鈍化(中央銀行インフレ目標達成に厳しさが増す)というマイナス面が想定以上に大きく感じられた。


そう考えると、原油安が止まらなければ、世界経済全体へのマイナス面、中央銀行の緩和策長期化が意識されやすいだろう。また、中国経済の弱さを反映したアジア諸国の弱さは、日本の輸出にも悪影響を与え、日本経済の下振れリスクにもつながる。当然ながら、日銀の追加緩和観測もくすぶり続けるだろう。それでも昨年との相違点は、ここからの原油価格の下落幅は相対的に大きくはならないと見込まれていることだ。


一方で足元の金下落のスピード感は、2013年春の金暴落を思い出させる。当時、暴落の引き金を引いたのは米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録であり、量的緩和の縮小を支持する意見が増えたことだった。


それまでドルの代替通貨、インフレヘッジとして買われてきた金から大量の資金が流出し、ドルや株にシフトした。当時、商品ファンドの撤退や閉鎖の話が市場を駆け巡り、「グレートローテーション」という言葉が流行ったのは記憶に新しい。


2013年春が米利上げの序曲なら、今回は米利上げ織り込みの最終章と、筆者には思える。しかし、米利上げの最終局面にしては、米10年債は27日時点で2.3%割れと低い水準だ。8月相場に波乱があるとすれば、米10年債のフェアバリュー模索の動きではないだろうか。


仮に9月利上げの後ずれ観測が強まるなら、再び金利低下を試す動きとなり、金下落の一服が見込まれる。一方で、9月利上げを織り込むなら、米10年債が2%台後半を目指す動きとなってもおかしくない。


#gold