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ハーバード大学は「音楽」で人を育てる 21世紀の教養を創るアメリカのリベラル・アーツ教育/菅野 恵理子 - 本:hontoネットストア

アメリカの大学にはなぜ音楽学科があるのか? 第1回 | 海外の音楽教育ライブリポート/菅野恵理子 | ピティナ・ピアノホームページ

「音楽」の辞書的定義は一つでも、「音楽」への接し方は人によって様々である。音楽にどのような価値を見出すのか、音楽にどのくらいの距離感で接するのか、音楽をどのようなカリキュラムで学ぶのか、音楽以外にどのような分野の知識や見識を持っているのか、音楽を通してどのように人や社会と繋がるのか・・・。それによって、各々の「音楽」に関わるコンテクストが存在するはずである。

アメリカでは日本と異なり音楽単科大学は少なく、音楽の専門教育は全米各地にある音楽院にて行われている。中でもカーティス音楽院、ジュリアード音楽院イーストマン音楽院等はトップ校として知られている。一方、総合大学にもほぼ必ずといってよいほど音楽学科あるいは付属の音楽学校がある。

かつては職業訓練学校とも言われたマサチューセッツ工科大学(MIT)でも、人文・社会科学の重要性が1865年大学創立当初から提唱され、ようやく1930年代に人文学部が創立された。ただその頃はまだ音楽、哲学、心理学、法学、文学、芸術等はカリキュラム外としてみなされており、1950年代から60年代にかけて段階的に学科設置に至る。1980年代後半からは芸術科目が増え、2000年代には「人文学・社会科学」学部から、「人文学・芸術・社会科学」学部へと名称変更されている。近年になって、芸術重視傾向が加速してきた印象を受ける。(MITでの「芸術」は建築の割合が多いそうだが、この文言を学部名に入れることで意識の変化が伺える)http://shass.mit.edu/inside/history

教養人としての人格形成を目指す高等教育の源流は中世〜ルネサンス期にある。それを恐らく一部の大学がモデルにしたであろうことが、いくつか象徴的な形で現れている。

19世紀半ばにおいて音楽を学ぶ対象とした時、中世の高等教育の在り方にその原点を見出したと考えても不思議ではない。では大学機関が初めてヨーロッパで創設された時(最古は13世紀に大学認定を受けたボローニャ大学)、音楽はどのような位置付けで学ばれていたのか。最古の教育機関はスコラ・カントルムで、その流れを広めたのはフランク王国カール大帝(768〜814)、そして大帝が招いた学者が高等教育の基礎、つまり教養学を作ったと言われる。それが典礼聖歌を学ぶことと、自由学芸(リベラルアーツ)を学ぶことであった。リベラルアーツとは自由七科とも呼ばれ、言語に関わる三科目(文法・修辞学・弁証法)と数学に関わる四科目(算術・幾何・天文・音楽)があり、音楽は後者に属していた。

現在の大学音楽学科における「音楽」の位置付けを見ると、少なからずこうしたリベラルアーツの考え方が反映されている。教会やプライベートな演奏活動のみにとどまらず、学問として公に学ばれるようになったのはごく自然な流れだろう。そしてそれは、専門家養成というより人格形成上の基礎教養としてである。だがボエティウスの著書によって理論優位だった時代とは異なり、現在はカリキュラム配分こそ違うが、理論と実践を組み合わせた総合的な音楽教育を行う場となっている。

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