ドイツには、ことし1月から先月末までにおよそ75万人の難民や移民が押し寄せていて、受け入れが追いつかないことからメルケル首相は5日、新たな対策を発表しました。
それによりますと、バルカン諸国から経済的な目的で入国するなど、難民として認定される可能性が低い人たちが滞在する施設をドイツ国内に3か所から5か所、設けるとしています。
そのうえで、これまでは平均で半年ほどかかっていた難民審査を遅くとも1か月以内に終わらせ、難民として受け入れが拒否された人は施設から直接、母国へ送還するとしています。
ことしドイツで難民申請をした人の3分の1以上は経済が低迷するアルバニアやコソボなどバルカン諸国の人たちが占めていて、難民審査を待つ人への現金の支給などの手厚い支援がこうした人たちを引きつけていると指摘されていました。
メルケル首相としては、難民として受け入れが認められる可能性が低い人たちに対して厳しい対応を取ることで、ドイツで難民申請をしようとする人の数を大幅に減らし、混乱の拡大に歯止めをかけたい考えです。
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EU 難民急増でプラスの経済効果も 初の分析 NHKニュース
EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は5日、最新の経済見通しを発表しました。それによりますと、EU28か国のGDP=域内総生産のことしの伸び率は1.9%と予想し、ことし5月の時点より0.1ポイント引き上げました。一方、来年の伸び率は0.1ポイント引き下げて2%と予想しました。
EU経済はユーロ安による堅調な輸出や原油安による消費の回復などに支えられ、引き続き緩やかな回復基調にありながらも、中国の景気減速など世界経済の不透明感は増しているとしています。今回の経済見通しでは、急増する難民がもたらす経済的な影響についても初めて分析が行われました。
それによりますと、域内への難民はことしから再来年にかけて合わせて300万人に達すると想定したうえで、一部の国では難民の審査や国境管理などにかかる費用がGDPの0.2%に上り、一時的な負担が増すとしています。
しかし、中長期的には労働力の拡充につながりGDPを0.2%から0.3%近く押し上げる効果があると指摘しています。
ただ、難民の語学力や技術力によって経済への貢献度が左右されるほか、難民を社会全体で受け入れる環境を整えられるかが課題になるとしています。
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