私は昭和20年に札幌で生まれた。
昭和26年には父の仕事の関係で大田区の蒲田に移ったのだが、まだ街頭テレビを皆で群がって見ている時代であった。
私の経験から、作家に限らず、書き始める時は構想が定まらず、書いては破り、書いては破りを繰り返すことが多い。そのうち気分が乗ってくると、泉のように湧き出してくるものを流れるように速く書くために、自然と筆圧が強くなり、ペン先の腰の強い万年筆が合ってくる。
よく作家は、たたく様にして書くと言うが、その時は筆圧をしっかりと受け止めてくれる、かたいペン先が安心感を生む。
#文房具