https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

『総合商社は無用か』|北尾吉孝

総合商社は「日本にしかない業態」と言われます。貿易立国だけを頼みの綱に日本で英語人材が不足していた時分、当該業態には中間搾取という機能がありました。しかし我国が貿易立国から投資立国へという世界に移って行き、英語を話せる人が有力メーカーにも多く在籍するようになり、また過去の円高局面で各社夫々が現地生産に切り替えて行くといった状況下、その時代に応じて商社の役割というのは問われ続けてきたわけです。


総合商社は、80年代には「商社不要論」を唱えられ、90年代のインターネット黎明期には「中間業者不要論」をささやかれるなど、何度もさまざまな危機に直面してきた業態です――三菱商事のコーポレートサイトにも、このように書かれています。


そして中間搾取という商社の仕事が意味を為さなくなって後、彼らは資源ビジネスというリスクテイクに傾斜して行ったというわけです。先日の日経新聞の社説でも「三井物産では利益の約8割を、三菱商事でも7割弱を資源事業が占めたことがある」との一文が示している通りです。


言うまでもなく商社というのは莫大な売上高を誇り、それなりの利益を出してはいますが、利益率で見ると非常に低いものがあります。日経ValueSearchの「業績推移(業界平均値)」に拠れば、直近3期の利益率(純利益÷売上高)は2.5%(13/03)、2.5%(14/03)、1.9%(15/03)に過ぎません。そしてそうした状況の中でも更なるリスクテイキングをしなければ、ビジネスとして成立して行かないといった脆弱性が内包されているのです。

昨年6月のブログ『撤退の難しさ』の結語で、私は「之すべてトップは此の時世と社会を洞察しその変化に勇気を持って応じられねばならず、それが出来ないトップであれば国であれ企業であれ末は破滅の道を辿る」との指摘を行いました。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160328#1459161663
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160328#1459161668
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160324#1458816102
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160320#1458470851