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企業と投資家の「高質な対話」によるガバナンスが必要になる|「プロ経営者の教科書」CEOとCFOの必修科目|ダイヤモンド・オンライン

――昨年3月のコーポレート・ガバナンス・コード公表から、1年が過ぎました。


北川(以下略):昨年6月に適用が開始され、3月決算の会社の場合、昨年末までにコーポレート・ガバナンス報告書の提出が求められたので、上場企業の報告書はほぼ出そろいました。今はこれを受けて、専門家による報告書の分析が進められています。


 今次のコーポレートガバナンスコードは、世界的に見ても先進的な内容が盛り込まれています。私もいくつかの報告書に目を通しましたが、企業の対応は、よく考えて真摯に応えようとしている会社と、揚げ足をとられないように保守的かつ抽象的表現に終始している会社の対応は大きく分かれた、という印象を持っています。


――コーポレート・ガバナンス報告書は、資本市場において、どのような意味を持つのでしょうか。


 コーポレート・ガバナンス・コードは、大きく5つの基本原則と、さらにそれらを補足する補充原則が定められていて、73のチェックポイントがあるとされています。独立社外取締役の人数などに触れた形式的な議論も多くありますが、会社の価値を上げていくための中期経営計画の策定、CEOの後継についての考え方を示すサクセッションプランなど、定性的な情報の開示も求められています。


 企業の考え方、開示内容は様々ですが、市場に対して、各社のガバナンスに関する考え方が発信されたことで、投資家と企業の間の対話が促されることが期待されます。


 これを受けて、機関投資家はそれらの内容を精読し対話を行うことが要請されています。。企業側には真摯な質問には説明責任が厳しく求められます。ボイラープレート(決まり文句)の説明は批判を受けることになります。

――2014年2月には、責任ある投資家の諸原則、スチュワードシップ・コードもまとめられました。


 コーポレート・ガバナンス・コードが企業を対象とするのに対して、スチュワードシップ・コードは投資家を対象として厳しい自己規律を求めるものです。スチュワードシップは国民から預けられた資金につき責任をもって管理するというニュアンスが含まれ、英国的な概念と言えるでしょう。それゆえ年金基金投資信託のお金を預かっている機関投資家が投資対象の企業を真摯に分析しないことはスチュワードシップ責任を果たしていないということになります。


 今後(既に始まっているかもしれませんが)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などのアセットオーナーは運用委託先の機関投資家に、受託者責任を果たし、スチュワードシップ・コード、コーポレート・ガバナンス・コードに基づいた対話をしているか、について精査することになるのではないでしょうか。


――投資家が、対話を通じて企業をウオッチするという仕組みになっているのですね。


 GPIFは国民の大事な財産(年金)を預かっている機関ですから、GPIFは国民に対して責任を負っています。つまり、企業は機関投資家に、機関投資家はアセットオーナーに、アセットオーナーは国民(企業の社員はもちろんその中に含まれます)に責任があるという循環になっています。国民のお金が巡り巡って投資されるインベストメント・チェーンの中で、投資対象となる日本企業にはグローバルな競争の中で圧倒的なポジションを維持してもらわなければなりません。そうでないと日本株式会社の株価は順調に推移しません。


 そのために機関投資家は時として非常に厳しいことを企業に伝えることもあるかも知れません。だからゲートキーパーなのです。その意味で、両コードは、国民全体の福祉のためにも重要と言えるでしょう。

――しかし、両コードには、強制力はありません。


 両コードは、会社法や金商法のような法律、ハード・ローではありません。あくまで自律的な規範であり、自主的に対応するソフト・ローとなっています。様々な識者が参加した委員会で社会的合意を形成するソフト・ローは、資本市場に関しては約20年前から、英国で社会変革の推進力として注目されるようになり、日本にも本格的に導入されることになりました。その長所は、常に見直されることで、行き過ぎの点も不足な点も柔軟にただすことができることにあります。


 コードは、強制ではないので、極端に言えばコーポレートガバナンス報告書を東京証券取引所に提出しなくても刑罰が科せられることはありません。しかし、機関投資家の目もあり、コードを無視した企業は、社会的制裁を受けることになります。こうしたゲートキーパーによる自主規制を活用する動きが、今の資本市場では広がっています。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160212#1455273322
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160112#1452595096
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150930#1443609952
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150908#1441708313
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150802#1438512290
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150725#1437820770(『コーポレートガバナンス・コードの読み方・考え方』)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150723#1437647707
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150710#1436525108
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150707#1436266330
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150630#1435660807
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150626#1435315104
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150626#1435315105
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150619#1434710442
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http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150407#1428403276
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141128#1417171328
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