【挨拶】黒田総裁(平成28年度入行式) https://t.co/wuG3WkV9tL
— 日本銀行 (@Bank_of_Japan_j) 2016年4月1日
1つ目は、「セントラルバンカーとしての専門性を磨き、それを公的な目的に活かすというパブリック・マインドを強く持ち続けること」です。
中央銀行の基本的役割である銀行業務を的確に遂行するには、職員一人ひとりが専門家として、セントラルバンキングのプロフェッショナルになることが必要です。プロになることは簡単ではありませんが、まずは配属された職場で実務の「基本動作」をしっかり身につけてください。「基本動作」の積み重ねが、より専門的な力の獲得へと皆さんを導いてくれます。
その際、皆さんには、「日本銀行の仕事を通じて、わが国の経済・社会の基盤を支えていく」という使命感を持ち続けて欲しいと思います。日々の仕事には外部から見えやすいものと、そうでないものがありますが、どの仕事もその一つひとつが、わが国経済の健全な発展を支えることに結びついています。
2つ目は、「理論と実践の両面を大事にすること」です。
政策・業務運営を考える際は、もちろんその時々の課題に即して実践的なアプローチをとることが必要ですが、同時に理論的なアプローチも意識しておくことが大切です。理論的なアプローチを常に意識の中に入れることにより、物事を俯瞰的に捉え長期的な視点で対応を考えられますし、そうした視点をもってこそ、時代の変化を的確に捉えた迅速な対応が可能になります。皆さんには、こうした視点を身につけた上で、効果的な政策・業務運営の企画・立案にチャレンジしていって欲しいと思います。
3つ目は、「自分の考えをしっかり持ち、これを内外に示しながらコミュニケーションを的確に行う力を養うこと」です。
私自身、固定為替相場制の時代に政策当局者の立場で「変動相場制が望ましい」とする論文を執筆し、また、時代に先駆けてインフレーション・ターゲティングの論考を寄稿しました。理論に基づく自説をもとに対外コミュニケーションに努めることで、自説がブラッシュ・アップされるとともに、多様な考え方を知り、自分の中に取り込むことができたと思います。その結果、多様な見方を尊重するマインドが育ち、対外的なネットワークも一段と強固になったと考えています。やや異なる文脈ではありますが、一人ひとりの職員にこうした意識が根付けば、組織全体でも、真の意味での多様性――ダイバーシティ――が尊重される企業文化が育まれていくと思っています。
#問題的思考と体系的思考