日銀は、過去に金融システム不安の抑制を目的に銀行から買い入れた株式について、予定通り4月から売却を再開した。年間の売却予定額は時価(2015年11月末時点)で3000億円。4月から新たに買い入れを開始した新型の上場投資信託(ETF)と同額となっており、株式市場への影響を相殺する。
過去に買い入れた銀行保有株の売却は2007年10月から開始したが、その後は株式市場への影響を考慮し、今年3月末まで売却を停止することを決めていた。
日銀は昨年12月の政策委員会で売却期間について、それまでの5.5年間を10年間に延長することを決め、今年4月から予定通りに売却を再開した。売却にあたっては、株式市場への影響を極力回避するため、売却時期を分散することや、保有銘柄についておおむね均等のペースで売却することなどを定めた株式処分の指針に基づいて行っていく方針だ。
実際の売却は信託銀行を通じて行っており、株価急変時の対応や売却株数などは受託した信託銀行の裁量に委ねられている部分もあるが、ほぼコンスタントに売却を行っているとみられる。年間250日程度の営業日数で考えると、1日あたり時価で10億円超の売却を行っている計算になる。
一方、4月から新たに買い入れを始めた設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業を対象とするETFも、1日あたり12億円の買い入れを連日実施しており、日銀による株式売買の影響は日々の市場においてもほぼ中立になっているとみられる。