なぜプロ投資家は「株価はデタラメ」と考えるのか? ランダムウォーク理論の考え方|あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門|ダイヤモンド・オンライン
ファイナンス理論によれば、100日連続で上昇を続けた株であっても、101日目に上昇するか下降するかは、まったく確率的に等しい。世界中の投資のプロたちが前提にしている「ランダムウォーク理論」とは何なのか? そして、なぜ「デタラメ」であるにもかかわらず、「予測」が可能なのだろうか?
前回の記事では、リスクとは「過去のデータのばらつき」として考えられるということを確認した。この「ばらつき」は、統計学で言うところの標準偏差(Standard Deviation)にほかならない(標準偏差とは何なのかということはひとまず後回しにしよう)。
ここで重要なのは、「不確実性としてのリスク」の大きさが、統計学的な数値として可視化できるということだ。
また、一方でいまだに多く見られるのが、「株価チャートの動きは研究すれば予測できる」という人たちである(いわゆるチャーティストの立場)。
【問題】
株式Wは100日連続で株価が上がっている。このとき、翌日(101日目)の株価は、上がる可能性と下がる可能性、どちらが高いか?
市場参加者のうちの大半が「明日も上がる」と答えるだろう。しかし、マーコウィッツは「上がる確率」と「下がる確率」はまったく同じだと考えた。
過去のチャートの動きからの株価予測は不可能だという意味で、このランダムウォークはファイナンスの中核理論として受け入れられている。
「株価の動きが予測不可能」と「リスクは見積もり不可能」はイコールではない。むしろ、人々の思惑に左右されずランダムに動くからこそ、統計学的な標準偏差(ばらつきの指標)を使って、株価のリスクを見積もることができるのである。