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判例が考える「枠づけられた」利益衡量論とは何か?「憲法の地図」著者・大島義則弁護士に聞く | Legal News

ーー判例と学説が噛み合っていないため、これまでは勉強すればするほど深みにはまるような印象もありました。


憲法判例は、戦後初期は人権の制約原理としての「公共の福祉」という文言から、形式的な法的三段論法で結論を導いているという状況でした。そのあとは、猿払判決のような合理的関連性の基準や生の利益衡量論ですね。


これに対抗する形で、芦部信喜先生がアメリカから二重の基準論を持ち込み、判例を批判しました。しかし、結局最高裁の考え方が変わることはなく、憲法裁判ではなかなか勝てませんでしたよね。


そこで近年、現れたのが、憲法判例を内在的に読むドイツ流の三段階審査論でした。受験界でも、とても流行していますよね。三段階審査論は、判例の読み方としてもちろんあり得ると思います。ただ、実際に判決を書いている裁判官は、三段階審査の「サ」の字も知らないで書いているのではないかと……。


司法研修所に行くと、「裁判官は、裁判官の書いたもの(書籍、論文等)しか読まない」と言われます。最新学説の三段階審査論を十分に理解して裁判官が判決文を書いているかは、疑問があります。


ーー試験で求められる思考も、土台となるのはあくまで判例ですから、こちらを先に勉強するべきなのは当然ですよね。


もちろん、憲法の基本書や論文を書いている学者の方も、調査官解説も読んでいるはずだとは思います。しかし、既存の本などでは、それには触れず、自分の学説からこういう風に読むべきだということが提示されていることが多い。学説の観点だけから、判例を読んでも、判例が何を言っているのかは明確には分からないのではないでしょうか。

ーー「弱く描く」というのは具体的にどういうことでしょうか。


アメリカ流にせよ、ドイツ流にせよ、学説が共に敵にしている最高裁像は、生の利益衡量論のような脆弱なものがイメージされているように感じていたのです。現代の憲法判例は、昭和50年以降、かなり進化していて、かつてのような脆弱な理論で成り立っているとはいえないと思います。生の利益衡量論から、「枠づけられた」利益衡量論に進化しているのです。

アメリカ流の違憲審査基準論、ドイツの三段階審査論、そして今回明らかにした、日本の「枠づけられた利益衡量論」が、三すくみの状態になっているということを、まずは理解して欲しい。


これからの法曹は、判例法理や調査官室の見解を正しく理解した上で、アメリカ起源の違憲審査基準論やドイツ起源の三段階審査論との適切な対話を図っていくことが求められると思います。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160507#1462618035
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160325#1458902606