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弁護士会の照会拒否 賠償求められない 最高裁が初判断 | NHKニュース

この裁判は、弁護士から裁判の当事者の転居先について照会するよう申し出を受けた愛知県弁護士会が、日本郵便に照会したところ、守秘義務を理由に回答を拒否されたことから賠償などを求めたものです。


1審の名古屋地方裁判所は「回答する義務は守秘義務より優先されるが、賠償は認められない」と判断しましたが、2審の名古屋高等裁判所は「照会の目的を検討せず一律に拒否するのは不当だ」として1万円の賠償を命じ、双方が上告していました。


18日の判決で、最高裁判所第3小法廷の木内道祥裁判長は「弁護士会に照会の権限が与えられているのは、弁護士からの申し出が適切かどうかの判断など制度の適正な運用のためで、相手から報告を受ける利益が法律上、保護されているわけではない」として、賠償を求められないとする初めての判断を示しました。ただ、岡部喜代子裁判官は「照会を求める側と秘密を守られる側の利益を比較して判断すべきだ」として、企業や団体は一律に拒否すべきではないという意見をつけました。


今回の判決で、最高裁判所は、照会の制度に関する説明の中で、「照会を受けた相手は正当な理由がないかぎり、回答すべきだと解釈される」と述べています。判決のあとで会見を開いた愛知県弁護士会の石川恭久弁護士はこの記述について、「照会を受けた団体が回答する義務を負うことを最高裁が認めたもので、一定の意義がある。今まで拒否していた団体に回答してもらえる可能性が高まったし、弁護士会としても要請していきたい」と述べました。

弁護士会による個人情報の照会は法律に基づくものですが、罰則規定はなく、回答を得られないケースが全体の1割を超えているのが現状です。


弁護士法では、弁護士の業務に関して必要な情報については、弁護士会を通じて企業や団体に照会することができると規定されています。例えば、民事裁判の関係者の連絡先がわからない場合などに使われ、照会先は、警察や検察庁のほか、金融機関や通信会社などが多いということです。


一方で、企業や団体が個人情報の保護などを理由に照会に対する回答を拒否した場合の罰則規定はありません。日弁連=日本弁護士連合会によりますと、去年、各地の弁護士会が弁護士から照会を受け付けた件数は17万6334件で、回答を得られたのは全体の86.4%でした。一方で、回答がなかったのは8.8%、回答を拒否されたのはおよそ4.8%で、回答を得られないケースが全体の1割を超えているのが現状です。