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遺産相続の預貯金の取り分めぐり 大法廷で弁論 | NHKニュース

遺産の相続人による協議がまとまらない場合、家庭裁判所に審判を申し立て、不動産や株式などの取り分を決めることができますが、過去の判例で、預貯金は審判の対象外とされ、取り分は「子どもがいる配偶者は2分の1」など、法律の規定にしたがって相続するとされてきました。


しかし、今回争われている審判では、遺産相続の前に相続人の1人が多額の贈与を受けていたため、もう1人の相続人が「預貯金を法律の取り分で分けると全体として不公平になる」と訴えています。


これについて最高裁判所の大法廷で15人の裁判官全員が参加して弁論が開かれ、審判を申し立てた側が「預貯金も審判の対象にすべきだ」と主張しました。
一方、相手方は「今の法律では、預貯金を審判の対象にしないことが前提となっている」と反論しました。


これまでの判例では、預貯金は家庭裁判所の審判の対象外とされてきましたが、最高裁の大法廷が判例を変更すれば、今後、家庭裁判所の審判では、不動産などほかの財産に預貯金を加え、遺産全体を対象にして取り分を決められるようになります。


決定は年内にも出される見通しです。

今回のケースでは、相続の前に2人の相続人のうち1人にだけ贈与が行われていたことが争いのもとになりました。
資産を持つ人が亡くなると、相続の権利を持つ人たちが「遺産分割協議」を行うことになります。


今回のケースでは、亡くなったAさんの遺産の大半は預貯金で、額はおよそ4000万円でした。遺言書は残されていませんでした。
相続人はBさんとCさんの2人で、民法で定められた「法定相続分」はそれぞれ2分の1ずつでした。しかし、BさんはAさんが亡くなる前におよそ5500万円の贈与を受けていました。このため、Cさんは、預貯金についてはすべて自分が相続することを求めました。


これに対してBさんは、「法定相続分」にしたがって2000万円ずつ分けるべきだという主張をしました。
この分け方だと、Bさんは生前の贈与も含めるとおよそ7500万円を受け取ることになるため、Cさんが審判を申し立てたのです。


過去の判例で、預貯金は遺産相続をめぐる審判の対象外として扱われてきたため、通常であれば「法定相続分」にしたがって分けることになりますが、Cさんは、不公平だと訴えました。
1審と2審はCさんの主張を退けましたが、最高裁判所は、判例の変更など重要な判断を示す場合にだけ開く大法廷で審理を始めました。


このため預貯金を審判の対象外としてきた判例が見直される見通しで、預貯金も不動産や株式などの資産と同じように扱われることになると見られます。

預貯金の相続について、法務大臣の諮問機関である法制審議会の民法部会は、すでに法改正の議論を始めています。


過去の判例では家庭裁判所の審判では預貯金を扱えないとされていますが、一部の相続人に生前の贈与があった場合などに公平な分け方ができないという指摘があります。
実際の審判では、相続人全員の合意が得られれば預貯金も対象に含めているほか、金融機関でも、全員の合意がなければ法律上の取り分の引き出しに応じないケースが多く、実務との間に差がある状況です。


こうしたことから、法制審議会の民法部会は、預貯金の相続について議論を始め、家庭裁判所の審判で取り分を決めることができるとする民法改正の中間試案をことし6月にまとめました。
法制審議会の部会は、今回の最高裁判所の決定の内容も踏まえてさらに検討を進める予定で、来年には民法改正の要綱案をまとめたいとしています。