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ユニクロ」ブランドを展開するファーストリテイリングは、これまで六本木(東京・港区)のオフィスでユニクロの主要業務を担当していた社員を、物流施設に併設した有明江東区)に移転。これに伴い従来半年から1年程度かかっていた商品の企画から販売までに必要なリードタイムを13日間に短縮する方針だ。


  同社はアパレルチェーンで世界首位の「ZARA(ザラ)」ブランドを展開するスペインのインディテックスを売上高で超えることを目指している。Fリテイリの柳井正会長兼社長は10日のブルームバーグのインタビューで、13日間に短縮できればリードタイムが短いことで知られるインディテックスと「同じくらい」になると話した。


  同社は1月に「ユニクロ」ブランドの商品開発やマーケティングなどの業務を東京で担う社員約1000人を、湾岸地域の倉庫の最上階フロアにある新オフィスに移転させた。目指すのは、消費者の声を瞬時に反映させられる商品作り。そもそも「ファーストリテイリング」という社名には「要望した商品を早く届けられる、早い小売業」との思いが込められていると柳井氏は語る。「楽しく仕事ができて、すぐ打ち合わせできる場所がある」ことが有明のオフィスの利点だ。


  モーニングスターのアナリスト、チェルシー・タム氏は「有明に期待されるのはサプライチェーンの効率化」だと話す。商品の輸送にかかる時間を短縮できれば、スペースが限られる店舗に必要以上の在庫を抱えなくて済むというメリットもあると指摘した。


  ユニクロは現在、着丈や袖丈を消費者が自分好みに指定できるセミオーダー式のジャケットやシャツを販売している。今後、色やフィット感など消費者が好みに合わせてカスタマイズできる商品を増やすことも計画している。スマートフォンなどの普及により、消費者の好みをくみ取りやすい環境ができあがったことに対応する。商品の開発から製造、販売までの流れを再構築し、消費者の声を聞きながら「瞬時に商品を作って瞬時に売る」仕組みづくりを目指すという。


  柳井氏によると、今では人々はお店で買う前に「スマホタブレット、PCでものを見て、それで買いに行く」ため、「店舗とデジタルがシームレスにつながる環境」が必要だという。消費者が商品に対してコメントできる機能もウェブサイト上で構築する考えも明らかにした。

  同氏は「ZARAの場合、お客さまの要望というよりファッション自体を売っている」と指摘する。一方で「われわれはライフウエアというお客さまの生活に根ざしたもの」を扱っていることから、消費者の声を聞きそれに沿ったものを売りたいと話した。


  スピードと正確性を追求するため業務の過程に自動化を積極的に取り入れ、出荷や配送の状況を細かく追跡し、人工知能(AI)を使った商品の売れ行き予測などを行うことも検討している。有明の施設には自動化を積極的に取り入れており、こういった次世代の物流施設を今後2−3年で海外にも設ける考えを明らかにした。


  デジタル化とグローバル化を成長戦略に掲げる同社は、国内での人口減少を背景に海外への店舗展開を加速させている。柳井氏は今後、毎年100店舗ずつ中国と東南アジアでそれぞれ出店していくと明らかにした。中国については2017年8月期の出店計画と同じペースになる見通しだが、経済成長が著しい東南アジアの出店数は同計画比で約3倍になる見通しだ。赤字の米国事業では、ブランドの価値を高めるために店舗を商圏の大きい地域や大都市の中心地に集中させる考えを示した。

  度重なる値上げによる客離れなどで国内事業が伸び悩んだFリテイリは昨年、5兆円としてきた21年8月期の売上高目標を3兆円に引き下げた。このうち、柳井氏は1兆円が国内、1兆円がアジア、残りの1兆円がその他の海外市場になるとし海外売上高が国内を上回る見通しを示した。しかし、同社の16年8月期の実績では国内売上高は全体の6割弱だった。同社は4月13日に上半期(9−2月期)の決算を発表する予定だ。