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米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の申し出を断れる人はそういない。窮地に立たされているなら、なおさらだ。だが最近では、ノーと言える人たちが出てきている。


カナダのノンバンク大手ホーム・キャピタル(HCG.TO)の株主は12日、株式の約20%を追加取得するバークシャー・ハザウェイ(BRKa.N)からの提案を圧倒的多数で否決した。約3週間前には、米センプラ・エナジー(SRE.N) が、交渉で先行していたバークシャーに競り勝ってテキサス州の送電会社オンコー・エレクトリック・デリバリーの買収を決めたばかりで、バークシャーは立て続けに痛手を被った格好だ。


2月には、英蘭系日用品大手ユニリーバ(UNc.AS) (ULVR.L)が、バークシャーの後ろ盾を得た米食品大手クラフト・ハインツ(KHC.O)からの1430億ドルの買収提案を拒否している。


バフェット氏がホーム・キャピタルに追加出資を提案した6月、同社は危機に陥っていた。この不動産ローンのノンバンク大手が投資家に誤解を招く発表を行っていたとカナダ規制当局に指摘されたことを受け、短期預金者の引き出しが殺到していた。


バフェット氏はホーム・キャピタルに対し貴重なお墨付きを与え、株式の20%を1億5300万カナダドル(約138億円)で取得するほか、20億カナダドルのクレジットライン設定を提案した。


だがバフェット氏の「太鼓判」は、効果があり過ぎて自身の利益を損なう結果となったかも知れない。


預金は6月末から7月にかけて回復し、流動性も改善した。同社は、商業用抵当資産の売却益で負債を返済した。株価は4月の安値から5割以上も回復した。ホーム・キャピタルの株主は、バフェット氏から必要なものは全て得られたと判断したに違いない。


バフェット氏はそれでも同社の筆頭株主で、自身が所有する株式価値は倍以上に増えた。カナダドルが6月以降10%上昇したことも、含み益をさらに押し上げた。


テキサスでの買収失敗には、こうした「なぐさめ」すらなかった。


センプラ・エナジーは8月、経営破たんした米エナジー・フューチャー・ホールディングスと同社が所有するオンコーの株式80%を95億ドルで取得することで合意。バークシャーの買収計画を土壇場でひっくり返した。エナジー・フューチャーの最大債権者であるヘッジファンドのエリオット・マネジメントは、バークシャーへのオンコ―売却に反対していた。


同様に、バークシャーが27%を保有するクラフト・ハインツも、買収戦略の練り直しを迫られている。


オマハの賢人」と呼ばれるバフェット氏の投資で最大の利益をあげた案件のいくつかは、彼の投資が最も求められる場面で出資したものだ。2011年に米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BAC.N)に50億ドルを投じた案件では、今夏バフェット氏が株式を買い増すワラント債を行使し、120億ドル(約1兆3400億円)という驚くべき利益を出した。


だが、バフェット氏との契約内容を見直す時間を与えられれば、考え直すターゲット企業もあるだろう。