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 最近では、稼働率が下がった銀行のATMが“お荷物”となっているという論調も目立ってきている。メガバンクとりそなグループ傘下の2行を合わせた都市銀行の台数は2001年以降、コンビニATMの急ピッチな増加と裏腹に約15年間で1割減少した。


 金融機関のなかには「ATMはコンビニに任せればいい」という方針で、自前のATMをゼロにした金融機関もある。


 ATMの導入コストは、1台当たり300万円程度とバカにならない。今や積極的に投資する金融機関は少なく、なかには中期的にATMを半減させるという金融機関もあるという報道もある。銀行ATMが漸減傾向をたどっていくのは確かだろう。

 とはいえ、コンビニのATMが安泰かというとそうでもなさそうだ。


 というのも、ATM1台の1日あたりの利用件数を見れば、低下傾向が顕著になってきたからだ。


 株式を公開しているセブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン銀行の例をみてみると、2012年度に111.1件あったものが14年に100.9件、16年に95.5件まで落ち込み、17年度の計画も期初の94.7件から最近94.3件に修正するという状態である。平均利用件数の漸減傾向は顕著になってきているのだ。


 恐らく、ファミリーマートやコンビニ各社で構成するイーネットや、ローソン・エィティエム・ネットワークスも同じ問題を抱えているのは間違いないだろう。


 セブン銀行は、ATMさえ設置してしまえば、後はチャリンチャリンと手数料が入る仕組みで、これまでグループの「ドル箱」的存在だった。初期投資も、銀行ATMに比べて不要な機能を省いているため、100万円台後半と銀行の3分の2以下で済んでいるため、積極的に設置台数を増やしてきた。

 しかし、セブン銀行も17年3月期の「経常利益」は、ついに前期比1.2%減とわずかながらだが減益に陥った。売上高に相当する「経常収益」も同1.3%の伸び率にとどまっている。


 もちろん、ATMが2万3000台以上になり、1台当たりの稼働率が落ちるのは当然だという指摘があるかもしれない。


 しかし、セブン銀行の事業活動における「リスク」のところに示されている「リスクの兆候」が表れてきたとも言えなくないのだ。


「将来、クレジットカードや電子マネー等、現金に代替し得る決済手段の普及が進むと、ATM利用件数が減少し、当社の業績に影響が及ぶおそれがあります」


 この一文は、セブン銀行の「事業活動リスク」に示されているものだ。まさに、今後はこのような「決済革命」が進みそうなのだ。

 これに対し、「いやいや日本人の現金信仰には根強いものがある。そんな簡単に現金が不要な世の中にはならない」と見る向きもいるだろう。


 確かに日本人のクレジットカード利用率は15〜16%と低い。中国や韓国のように50%を超えているような国は極端なケースとしても、米国ではデビットカードとクレジットカード合わせて35%と現金離れが進んでおり、ネット通販市場のクレジットカード決済比率の拡大で今後は一段と現金離れが進むとみられている。


 ひるがえって日本はどうだろうか。今後2020年の東京オリンピックパラリンピックが一つのターニングポイントになるとみられている。


 オリンピックで来日する外国人客の受け入れ態勢の整備として、カード決済は重要なポイントである。そうでなくても訪日外国人は年々増加しており、決済手段としてカード払いができないと、せっかくの訪日外国人客によるビジネスチャンスを逃してしまうことになる。

「サヨナラ、ATM。現金よ、今までありがとう」──。


 三井住友銀行は、こんな広告を打ち出しデビットカードの取り扱いを開始した。米国など外国では、クレジットカードのように使い過ぎないデビットカードは人気がある。訪日外国人の増加などもあり、日本での利用が広がると判断してのことだろう。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171114#1510655944
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170605#1496659170(日銀は「来年には、デビットカードを使ってスーパーなどのレジで現金を引き出すことができるキャッシュアウトと呼ばれるサービスも始まる予定で、一段の利用拡大が見込まれる」としています。)