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野中 認知心理学者のマイケル・トマセロが書いた『ヒトはなぜ協力するのか』という本があります。トマセロはこの本の中で、人間が他の動物と本質的に違うのは、コラボレーションできるかどうかだと結論付けているんです。


 チームを組む、すなわちコーポレートすることは、チンパンジーでもやるんですよ。そのほうが餌を採りやすいですから。でも、ひとたび採ったら我先にと餌を食べようとする。つまり、コーポレートはできてもコラボレーションはできないんですよ。


武田 その違いは大きいですね。私どもは“カンパーニャ”(編集部注:カンパニーの語源で、「なけなしのパンを分け合う」の意)から始まった組織ですから、コラボレーションの大切さを身にしみて経験してきました。


 人間1人ひとりは弱い存在でも、もし「こいつは裏切らない」と心の底から信頼できる仲間がいれば、互いに背中を合わせて戦うことができるため、そのぶん戦力も高まります。しかしコラボレーションができないとなると、メンバーに背中を預けるなんて、とてもではありませんが怖くてできませんね。

野中 結局のところ、創造の原点となる相互主観性(第2回参照)も、コラボレーションができないと生まれません。


 相互主観性の確立に始まり、実践のなかでそれを習慣化していく。その習慣化をリードするのが、フロネシス(実践知)を持ったフロネティック・リーダーです。


 究極的には、リーダーの実践知をメンバーに伝承して、全員が自律的に動ける組織になるのが理想です。自律分散リーダーシップを育成するということですね。


武田 全員がリーダーになっていくのですね。

野中 また、コラボレーションはSECIモデル(第1回参照)にも必要なものです。SECIモデルでは暗黙知から形式知形式知から暗黙知への変換を行います。


 この2つの知は二分するようなものではなく、グラデーションになっている。そのグラデーションは、状況に応じて絶えず動いているわけです。ですから、二元論で対立するのではなく、コラボレーションしないと知が膨らまないのです。


武田 「白か黒か」という二元論では、知識創造のスパイラルは回らないのですね。

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