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 シリアのロシア空軍基地が2017年末に大規模な攻撃を受け、航空機7機、負傷者10人などの大損害を出していたことがわかった。


 1月3日付のロシア有力紙『コメルサント』によると、攻撃を受けたのはシリア西部にあるフメイミム空軍基地。2015年9月の軍事介入開始以来、ロシアの主要拠点として用いられてきた基地で、常時30-35機程度の戦闘機や戦闘爆撃機と、これとは別に戦闘ヘリコプター部隊や無人偵察機部隊などが展開してきた。


 攻撃は大晦日の12月31日に行われ、迫撃砲によってSu-24M戦闘爆撃機4機、Su-35S戦闘機2機、An-72輸送機1機が破壊されたほか、弾薬庫も誘爆を起こしたという。人的損害を別とすれば、1日で7機の航空機を喪失するのはロシアのシリア作戦史上において最悪の損害ということになる。

 フメイミム基地といえばプーチン大統領が12月11日に電撃訪問し、シリアにおける対テロ作戦の勝利を宣言したばかりだった。この際、プーチン大統領はフメイミム基地から「大部分の兵力」を撤退させるよう国防省に命じるとともに、「再びテロリストが頭をもたげたら、かつて経験したことのないような力を以て粉砕する」と述べていた。


 フメイミム基地を攻撃した勢力は今のところ特定されておらず、ロシア国防省からも公式の発表はないが、事実であればプーチン大統領の勝利宣言に対する強烈なカウンターということになる。

 とはいえ、このことを以てロシアのシリア戦略が大きく変化することも考え難い。一時は風前の灯となっていたアサド政権にロシアは軍事的支援を与え、シリア内戦をめぐる構図を大きく書き換えることに成功した。ロシアの関心は、すでに内戦終結後のシリアに移っている。


 ほぼ明らかなことは、アサド政権を軍事的に打倒することは不可能になったということと、ロシアが今後ともシリアへの軍事プレゼンスを維持するということである。


 すでにロシアはフメイミム基地の長期租借協定を結び、基地の大拡張を完了しているほか、今後は地中海のタルトゥース港に設置された小規模な補給・整備施設を本格的な海軍基地へと拡張することも決定している。ロシアはエジプトとの間でも飛行場の使用に関する協議を行っており、かつてのソ連が地中海から中東に掛けて有していた程度の軍事プレゼンスを復活させようとしているように見える。

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