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トランプ大統領は19日、人工妊娠中絶に反対する団体をホワイトハウスに招いて演説し、株価の高さや失業率の低さは、就任1年のみずからの実績だと強調しました。


そして、「私の政権は、『独立宣言』の中で、最初に記されている権利の生命権を守り抜く」と述べ、アメリカ社会を二分する問題へのみずからの立場を鮮明に示しました。


同じ時刻に合わせて、ワシントンの中心部では、トランプ大統領や与党・共和党を支持する集会も開かれ、数千人が、人工妊娠中絶に反対する大統領の演説を大型のスクリーンで見守り、時折、大きな歓声を上げていました。


東部ペンシルベニア州から参加した50代の男性は「トランプ大統領は、愛国心にあふれ、以前より多くの雇用を創出した。株価も上々だ」と述べ、支持する考えを強調しました。


20日で就任から1年となるトランプ大統領は、最新の支持率の平均が40%を割り込み、歴代大統領に比べ低い水準の支持率が続いています。


さらに、ことしに入ってからは、政権の内幕を描いたとされる本の出版や、会議でのみずからの発言などで、大統領の適性まで疑問視する見方も広がっており、支持のつなぎ止めに躍起になっています。


ワシントンでは、この週末、女性団体などの主催で、トランプ大統領に抗議するデモも予定されています。


アメリカ経済は、トランプ大統領が就任した去年1月以降、失業率が17年ぶりの低い水準に改善したほか、個人消費も上向くなど、好調を維持しています。


先月には、法人税の大幅な引き下げなどを盛り込んだ税制改革が成立し、企業の投資が活発になることが見込まれることなどから、成長の勢いは加速する見通しです。


ただ、先行きのリスクとして、ダウ平均株価がこの1年で30%以上、上昇するなど過熱感が高まっているという指摘が出ています。


また、トランプ政権は、国内に雇用を取り戻すとして通商政策で各国に強硬な姿勢で臨んでいて、中でも、メキシコなどと行っているNAFTAの再交渉では、自国の主張が通らなければ離脱する構えも示しています。


さらに、トランプ政権は、中国に対して貿易の不均衡を是正するため、何らかの制裁措置の発動を検討していることも明らかにしています。


こうした政策によって、各国との摩擦が激しくなれば貿易が減少するおそれもあることから、トランプ政権の内向きな経済政策が、世界経済のリスクになりかねないという指摘があがっています。


アメリカのマティス国防長官は、トランプ政権下で初めてとなる「国防戦略」を取りまとめ、19日、公表しました。


首都ワシントンで演説したマティス長官は、今回の戦略について、「いまやテロではなく、大国間の競争こそが最も重要な焦点だ」と述べ、中国やロシアとの軍事的な競合への対応に最優先で取り組む方針を鮮明にしました。


公表された戦略では、中国について、「経済力を使って周辺国を脅し、軍事力もてこにインド太平洋の秩序を自国に優位な形でつくりかえようとしている」と強く非難し、ロシアに対しても、「ヨーロッパと中東の経済・安全保障の構図を都合よく変えようとしている」として、両国を既存の国際秩序への脅威となる「修正主義勢力」だと位置づけています。


また、北朝鮮については、核ミサイルや生物化学兵器を追求しており、イランとともに「ならず者政権」だとし、地域や国際社会を不安定化させていると指摘しています。


一方で、中国とロシアの軍備増強と急速な科学技術の発展で、軍事面でのアメリカの優位が脅かされているとして、これを維持するために軍の即応力を高め、核兵器や宇宙・サイバーの分野を中心に軍事力の近代化と増強を急ぐとしています。


さらに、これと並ぶ取り組みとして同盟関係の強化を挙げ、「同盟国には、互いの利益となる集団安全保障に寄与するよう公平な負担を期待する」として日本などの同盟国の役割を重視する姿勢を強調しています。

アメリカは2001年の同時多発テロ以降、「史上、最も長い戦争」とも言われる対テロの軍事作戦を続ける一方、中長期的な国防戦略では、中国の軍事的な台頭をにらんでアジア太平洋地域への関与を強める姿勢へと徐々にかじを切ってきました。


ブッシュ政権の時代には、アフガニスタンでの対テロの軍事作戦、そしてイラク戦争の「2つの戦争」を進めながらも、2001年に発表した国防戦略で、西太平洋に展開させる海軍の部隊を増強する方針を示しました。


その後のオバマ前政権は「リバランス」と銘打ってアジア太平洋重視の姿勢をより鮮明に打ち出し、海軍全体の6割の部隊をこの地域に展開させる計画を示したほか、アジア諸国との関係強化に取り組み、中国の海洋進出へのけん制を強めてきました。


しかし、アフガニスタンイラクでの「2つの戦争」の終結という課題にも直面し、アメリカ軍の早期撤退を目指した結果、中東で生まれたいわゆる「力の空白」をつかれる形で、過激派組織IS=イスラミックステートの台頭を招き、アフガニスタンでも反政府武装勢力タリバンの巻き返しを許して、対テロの軍事作戦へのさらなる関与を余儀なくされました。


この間、中国は、経済発展を背景に海軍を中心とする軍事力の近代化と増強を急速に進めると同時に、南シナ海に大規模な人工島を造成して一大拠点も築き上げ、アジア太平洋での存在感を一気に拡大していきました。


予想を上回る速さの中国の軍事的な台頭に危機感を募らせたオバマ前政権は、2年前の実質的な国防戦略の見直しで、対テロの軍事作戦の収束を急ぐとともに、中国とロシアへの対応に重点を移していく姿勢を示しました。


トランプ政権は事実上、この戦略を引き継いで対ISの軍事作戦に一定のめどをつけることに成功し、国防戦略の焦点を中国とロシアとの軍事的な競合への対応に明確に定める方針を打ち出した形となりました。


トランプ大統領は、ことし9月までの今年度の予算案で、メキシコとの国境沿いに壁を建設する費用を要求している一方、野党・民主党は、子どもの時に親に連れられて不法入国した若者を強制送還しないようにする対応策を求めています。


今の暫定予算が19日に切れるため、議会下院はひとまず来月16日までの新たな暫定予算案を可決しましたが、議会上院では、与野党の間で調整がつかず、新たな予算案を可決できませんでした。


このため、必要な予算が手当てできず、トランプ大統領の就任からちょうど1年となる20日、政府機関が一部閉鎖される事態となりました。


これは、オバマ前政権のもとで起きた2013年10月以来のことで、トランプ大統領にとって打撃になりそうです。ただ、20日と21日は週末のため、目立った影響は出ないと見られます。


新たな予算案が可決されなければ週明け以降国防や治安など国の安全などに直結する業務を除く多くの機関の職員が、自宅待機を命じられるなど影響が出る見通しです。