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猫は必要な時以外は争わない。
 自分の縄張りを守ったり、隣の雌猫に寄ってくる恋敵に攻撃をしかけたりする時を除いて。
 猫が徒党を組んでほかの群れをぶっ潰しに行くのを見たことがある?
 縄張りの併合や油田をめぐって?軍曹の肩章をつけた大きな猫に指揮されて?あり得ない!


 年をとるにつれて、猫はますます術策を練って、争わずに敵を逃亡させるようになる。
 ジギーは自分の夜の縄張りによそ者の雄猫が入ってきた時に備えて、見事な作戦をもっていた。
 脅威が近づいてきたのを察知すると、息をひそめてじっと待っている。


 ある夜、低くうなる恐ろしい声が何度か聞こえたので外へ出てみると、猫が一匹、一目散に逃げていくのが見えた。
 しかし、ジギーはいない。
 呼んでみたが出てこない。

 自分の姿を見せることなく、敵を威嚇する。もし敵が周辺に留まっていたら、ただではすませないと知らせているのだ。

 猫は敵に出会うと賢く立ち回る。
 それに比べて人間は、大昔から役に立たない軍拡競争を繰り返してきた。
 まともに戦えば、双方ともに傷つく。
 猫にはそれがわかっている。