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 「政治家の人生は、その成し得た結果を歴史という法廷において裁かれることでのみ、評価される」。中曽根氏は自著「自省録〜歴史法廷の被告として」(新潮社)で政治家としての信念をこう述べている。その信念の下、自身の政治活動の記録を廃棄せずに、中曽根康弘事務所(東京)や自身が主宰する「青雲塾」(群馬県高崎市)などで保管している。


 その記録は、直筆の原稿や講演録から、自身がメモを書き込んだ記者会見用の資料、政治家、文化人、経済界の人たちと交わした書簡−−まで幅広い。特に1982年11月に首相に就任してからは、将来の公開を念頭に可能な限り活動の記録を残してきた。「総理大臣の一念は『一種の狂気だ』(中略)首相たるもの『権力の魔性を自戒せよ』と自覚しなければならない」(自省録より)との思いからだ。


 残した記録を基に95年から全6巻の「中曽根内閣史」がすでに出版されている。うち上下2巻の「首相の一八〇六日」は、在任5年間の分刻みの行動や、記者との一問一答などが網羅され、資料的価値も高い。


 研究機関への寄託も検討したが、最終的に広く一般に公開が可能な国会図書館を寄託先に選んだ。資料の寄託にあたり、秘書が「出したくないものはどうするか」と尋ねると、中曽根氏は「いいところだけ出すと、ゆがみを生ずる。全部出さないと公正な判断ができない」と答えたという。


 寄託作業がスタートしたのは2011年6月。初回分として4トントラック1台分の資料を運び込んだ。分類を進める憲政資料室は、幕末期以降の政治家、軍人、官僚など約530人が所蔵していた文書類など約40万点を収蔵する。14年3月に3875点を寄託する最初の契約が結ばれ、その後も、録音や映像も含めて事務所で整理が済んだ資料を順次運び込んでいる。中曽根氏の殿地(どんじ)眞己秘書は「政策決定の過程だけでなく、その背景もたどることができる歴史記録だと思う」と話している。

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