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国内最大規模として知られる漫画の海賊版サイトの運営者の氏名や住所について、日本の大手出版社がアメリカのグーグルなどに情報開示するよう申し立て、現地の裁判所が開示命令を出したことが分かりました。このサイトは今月閉鎖されましたが、出版社は著作権を侵害したとして運営者の刑事告訴などを行う方針です。

このサイトは国内向けで最大規模の漫画の海賊版サイト「漫画BANK」です。

集英社など大手出版社4社は漫画BANKが漫画の単行本や雑誌の全ページを無断で掲載するなど著作権を侵害しているとして運営者の特定を進めてきました。

先月には集英社がサイト運営者の氏名や住所、電話番号、IPアドレスなどの情報をIT大手、グーグルなどに開示するよう求めてアメリカの裁判所に申し立てていました。

その結果、裁判所は12日付けで申し立てを認め、グーグルなどに対して開示命令を出したということです。

漫画の海賊版サイトは4年ほど前から問題になり、以前最大規模だった「漫画村」の運営者は摘発されて、ことし6月著作権法違反などの罪で懲役3年の実刑判決を受けました。

漫画BANKは漫画村に代わる存在として知られ、アクセス数が月間およそ8100万と漫画村の8割ほどに達していました。

法的手続きが取られる中、漫画BANKは今月上旬に閉鎖されたということですが、集英社など大手出版社4社は開示される情報をもとに、運営者の刑事告訴や損害賠償請求など法的措置を進める方針です。

集英社編集総務部の伊東敦 部長代理は「著者が心血を注いで作り上げている作品を守り、読者に適正な形で届けるのが出版社の役割だ。海賊版サイトとは徹底的に戦っていきたい」と話しています。

漫画の海賊版サイトへのアクセス数は去年以降急増し、新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えたことが背景にあるとみられています。

出版社や関係団体でつくる海賊版対策を行う団体、一般社団法人「ABJ」によりますと「漫画BANK」を含む上位10サイトへの月間のアクセス数の合計は、去年1月は6100万ほどでしたが、先月には3億9800万と6倍以上になりました。

アクセス数や滞在時間を基に試算した被害額は、ことし1月から先月までで7827億円に上るということです。
集英社など大手出版社4社の顧問弁護団の1人で、著作権に詳しい中島博之弁護士は「たとえ海外サーバー経由の海賊版サイトも法的手続きをとれば運営者の特定を進めることができる。今回のケースも刑事手続きにまで持っていくことで相次ぐ海賊版サイトの抑止につなげたい」と話しています。

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