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気象庁の宮岡一樹地震情報企画官は午前2時から記者会見し「津波警報が発表されている地域では被害が発生するおそれがある。沿岸部や川沿いにいる人は直ちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してほしい。津波は繰り返し襲ってくるので警報が解除されるまで安全な場所から離れないでほしい。また注意報を発表している地域では潮の流れが速い状態が続くので海岸から離れ、警報や注意報が解除されるまで海に入ったり近づかないようにしてほしい」と呼びかけました。

「日本周辺で大きな潮位変化が観測され防災対応呼びかけ」

また15日夜、いったんは「被害の心配はない」と発表したにものの、その後、津波警報や注意報を発表した理由について「潮位変化の正確な原因は分かっていないがトンガと日本の間の観測点で津波が観測されていないにもかかわらず、日本周辺で大きな潮位変化が観測されたため津波警報の仕組みを使って防災対応を呼びかけることにした」と説明しました。

「警報や注意報の解除の見通しは立っていない」

今後の見通しについては「さらに大きな潮位変化が観測された場合には注意報を警報に切り替える可能性がある」としたうえで「今回は影響が長く続くと考えている。通常の地震による津波とは異なりどういったことが起きているのか分かっておらず警報や注意報の解除の見通しは立っていない。解除されるまで安全な場所にとどまってほしい」と呼びかけました。

今回、噴火のあとに日本の広い範囲で気圧が2ヘクトパスカルほど上がる変化が確認されたということです。気象庁は潮位変化との因果関係については分からないとしていて、今後調査するということです。

南太平洋のトンガの火山島で日本時間の15日午後、大規模な噴火が発生し、気象庁は16日午前0時15分、津波警報を鹿児島県の奄美群島トカラ列島に発表しました。津波警報が出ている鹿児島県の奄美大島の小湊では15日午後11時55分に1メートル20センチを観測しました。

津波のメカニズムに詳しい東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授は「今回の津波は火山噴火によるもので、波の周期をみると『空振』と呼ばれる噴火に伴う空気の振動による可能性がある。津波の周期が短く波の速度が速く強度が強くなる。沿岸部の施設に被害を与える可能性がある」と指摘しました。

そのうえで「遠地で起きる津波は影響が長く、半日や1日程度続く可能性がある。ただ今回は噴火による津波で、津波そのものの予測が難しい状況とみられる。火山噴火の推移も読めないので注意が必要だ」と話しています。

南太平洋のトンガの首都ヌクアロファから北に65キロほど離れた場所にある海底火山で15日午後、大規模な噴火が発生しました。

トンガの気象当局は津波のおそれがあるとして、国の全域に警報を出して警戒を呼びかけ、ハワイにある太平洋津波警報センターによりますと、トンガでは最大でおよそ80センチの津波が観測されたということです。

また、
▽バヌアツでおよそ1メートル40センチ
▽フランス領のニューカレドニアではおよそ1メートル10センチ
アメリカ領サモアでおよそ60センチ
さらに
▽南米 チリでも1メートルを超える
津波がそれぞれ観測されました。

引き続き周辺国をはじめ太平洋に面する国々が、津波への警戒・注意を呼びかけています。
こうした中、トンガでは現地の日本大使館をはじめ日本からの電話がつながりにくい状態となっています。

また海外メディアは、トンガの多くの地域で電話やインターネットがつながらず停電も起きていると伝えていて、依然として詳しい状況がわかっておらず被害の実態は明らかになっていません。

外務省によりますと、トンガには現在およそ40人の在留邦人の届け出があり、現地の日本大使館が個別に電話をして安否の確認を進めているということです。これまでのところ被害の情報は入っていないということです。

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気象予報士の資格を持つ。

気象庁自治体は、災害や避難に関する情報を対象地域の人に速やかに知らせるため、携帯電話事業者を通じて「エリアメール」や「緊急速報メール」などの名称でスマートフォンや携帯電話に配信しています。

16日午前0時15分に関東地方では沿岸の各地に津波注意報を発表されましたが、神奈川県によりますと、津波注意報の場合、本来メールは配信しないということです。

しかし県のプログラムの設定にミスがあり、全国の津波に関する情報が更新されるたびに横浜市川崎市など沿岸部の16の市と町の住民に誤って同じメールが送られたということです。

県の職員たちがスマートフォンなどに頻繁にメールが届いたため気づいたということで、津波注意報が出された直後から午前7時半すぎまでに誤って送られたメールの回数は最多で20回になるということです。

神奈川県くらし安全防災局の青木淳企画調整担当課長は「夜中に何度も起こすことになり特に受験生に対しては大変申し訳なかったです。システムは改修しましたが、再発防止に努めます」と話しています。

今回日本で観測された津波について、津波のメカニズムに詳しい東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授は「一度、潮位がおさまっても再び上昇するおそれがある。今後の噴火活動を注視するとともに、潮位変化には引き続き注意が必要だ」と指摘しています。

今村教授は、今回の津波の特徴について、大規模な噴火による圧力の変化が大きな影響を与えたとみていて、日本では気圧の急激な変化の後、大きな潮位の変化が現れたとしています。

気圧の変化をもたらしたのは、噴火に伴う空気の振動=『空振』と考えられ『空振』が伝わっていったん下に押された海面が元に戻る形で盛り上がり、大きな潮位の変化を引き起こした可能性があると指摘しています。

そのうえで「大気中の空振によって潮位の変化が引き起こされたため、通常の遠地の海中で起きる津波よりも到達が速かったことに加えて、噴火地点から離れるにつれて複数の波が重なることで、日本でも潮位が高くなったと考えられる」と話しています。

また今回の津波のメカニズムは観測史上、例が無いもので、今後の予測も難しい状況だとしています。

今後の注意点について今村教授は「噴火によって太平洋全域に気圧の変化を生じさせ潮位の変動を引き起こしていると考えられ、一度、潮位がおさまっても再び上昇するおそれがある。今後の噴火活動を注視するとともに、潮位変化には引き続き注意が必要だ」と話しています。

そのうえで地震による津波とは異なるが、広い意味では『津波』と言え、通常の津波と同じ防災対応が必要だ。今回の津波は波の周期が比較的短く流れが速いのが特徴で、船やいかだを移動させる力が大きくなる。潮位が高い状態が続いている地域では決して海岸には近寄らないでほしい」と話していました。

気象庁は北海道から沖縄にかけての広い範囲に出していた「津波注意報」を午後2時に解除しました。気象庁は、今後多少の潮位の変化があるかもしれませんが被害の心配はないとしています。

気象庁の束田進也地震津波監視課長は午後2時15分から記者会見を開き、北海道から沖縄にかけての広い範囲に出していた津波注意報を解除したことについて「これ以上潮位変化が高くなる可能性は小さくなったとみられる。しばらく多少の潮位の変化は継続すると考えられるが、そのことを十分理解して行動してもらえれば災害のおそれはないとみられることから、津波注意報をすべて解除した。海に入っての作業や釣りなどの際は十分に気をつけてほしい」と呼びかけました。

また、今回の潮位の変化について「いわゆる津波の特徴が見られずそもそもどのようなメカニズムで発生したのか分かっていない。気象庁では噴火した火山の周辺で津波が起きたと仮定してシミュレーションし、日本への津波の到達時刻を予想したがそれより2時間半以上も早く観測された。また、津波は本来、火山に近い場所から順番に伝わっていくが、トンガから日本までの途中にある観測地点では津波による潮位の変化がほとんど確認されなかった」と述べました。

そのうえで「こうした特異な海面の変動や潮位の変化を伝える手段がとっさになく、津波警報や注意報の枠組みを使って伝えた」と説明しました。

また、今後の注意点について束田課長は「津波注意報が解除されたからといってすぐに潮位の変化が無くなるわけではない。海の中での作業や釣りなどのレジャーでは、日頃と違う海流が発生したり、ふだんなら波が来ないような場所に来たりすることがありえるので十分注意してほしい」と呼びかけました。

トンガからおよそ1万7000キロ離れたスイスに本部があるWMO=世界気象機関は、スイスの観測所で2.5ヘクトパスカルの気圧の変化を確認したと公式ツイッターで明らかにしました。

世界気象機関は「噴火によって生まれた空気の圧力の波が、ヨーロッパを通過した。私たちが同じ大気を共有していることを示している」としています。

また、アメリカ国立気象局は、トンガから9000キロあまり離れたアラスカ州でも、噴火からおよそ8時間半後、気圧の変化と同時に人の耳でも聞こえる低周波音が記録されたとしています。

さらに、台湾の気象当局の局長も、自身のフェイスブックで台湾でも気圧の変化を観測したと明らかにするなど、世界各地で同様の報告が相次いでいます。

大規模な噴火が発生したのは南太平洋のトンガの首都から北におよそ65キロの海底火山、「フンガ・トンガ フンガ・ハアパイ」です。

過去にたびたび噴火を繰り返してきた火山で大規模な噴火が起きたのは、日本時間の15日午後1時ごろでした。噴煙は上空高くへと上がり、気象庁によると16キロに達しました。

気象衛星の画像でも灰色の噴煙が同心円状に広がる様子が確認でき、約2時間後の午後3時ごろには直径300キロ、北海道に匹敵するほどの大きさになりました。

気象庁地震火山部はトンガ諸島周辺で観測された津波のデータなどをもとに、規模の大きな地震が発生したと仮定し、津波の日本への影響についてシミュレーションなどを行いました。

その結果、日本では早ければ午後9時ごろから多少の潮位の変化が予想されるとして、午後7時すぎに「多少の潮位の変化があるかもしれないものの被害の心配はない」と発表しました。

しかし、その後、事態は一変します。シミュレーションで予想した到達時刻より早く、高い津波が各地で観測されはじめたのです。

小笠原諸島の父島では想定より2時間半余り早い午後7時58分に第一波が到達しました。

一方、気象庁内部ではあるデータに関心が集まっていました。日本で潮位の変化が観測され始めた午後8時ごろ、全国各地で大きな“気圧の変化”が起きていたのです。

さらに、地震による一般的な津波では日本に到達するまでの海外の観測地点で、順番に潮位の変化が観測されるはずですが、その変化はほとんど見られませんでした。

「気圧の変化が起きたということなら噴火の空振(空気の振動)で日本に波が来たということか?」
「前代未聞の事態だ」(気象庁幹部)

各地の潮位は上昇し、鹿児島県の奄美大島の小湊では、午後11時55分に津波警報の基準を超える1メートル20センチを観測。

「防災上の警戒を呼びかけなければいけないレベルまで来ている。津波警報で伝えるしかない」(気象庁幹部)

こうした観測状況を踏まえ、気象庁は日付が変わった16日午前0時15分、鹿児島県の奄美群島トカラ列島津波警報を、北海道から沖縄にかけての広い範囲に津波注意報を発表しました。前例のない状況の中で、情報を迅速に伝達することを重視した判断でした。

束田進也地震津波監視課長は記者会見で次のように説明しました。

「今回のような特異な海面の変動や潮位の変化を伝える手段がとっさに無いなかで、津波警報や注意報の枠組みを使って伝えるという運用を初めて実施した」

現在、火山の噴火に特化した津波の情報を伝える仕組みはありません。束田課長は観測データを詳細に分析したうえで、よりよい情報伝達に向けて今後、検討していくと述べました。

津波警報・注意報はすべて解除されましたが、今回の潮位変化の発生メカニズムはまだ解明されていません。

また、火山の噴火はおさまるまでに長期間かかることもあり、今後、どのように推移するのか、予断を許さない状況です。さらに、過去には「海底地すべり」によって津波が巨大化するケースも報告されるなど、地震に伴う通常の津波とは異なる形で、大きな潮位変化が発生することはこれまでにも実際に起きています。

海岸付近にいる場合にはそうしたことをしっかり意識したうえで、防災機関から情報が出されるなどしたら、すぐに高台へ避難できるような心構えをしておくことが大切だと思います。

#気象・災害