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新型コロナウイルスパンデミックは終息したが、米ニューヨークの中心部マンハッタンのオフィス市場は低迷が続いている。空室は常態化し、市内のオフィスビルの45%で、現在の価値が直近の売却価格を下回っているとの推計もある。

ロイターが収集した不動産仲介業者のデータによると、第2・四半期の賃貸面積は前年同期比で50%近く、パンデミック前の5年間平均からは25%減った。

賃貸料は下がらず、高級物件では跳ね上がってはいる。しかしオフィスビルの販売不振からは、オフィス市場が在宅勤務で激変し、投資が消極化している様子が読み取れる。

ネルソン・エコノミクスの不動産エコノミスト、アンドルー・ネルソン氏は、「現状ではオフィスビル市場は事実上、存在しないようなものだ。底値がどこか誰も分からないからだ」と話す。

高級物件の高額スペースに対する需要は旺盛だが、それ以外は全て「空室がどんどん増えている」という。「スローモーションで進む大惨事のようなもので、回復には何年もかかるだろう」

ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)のアンドルー・リム調査部長によると、過去の景気サイクルと異なり、オフィス市場は3年余りも低迷したのに、まだ調整が終わらない。不要なオフィススペースを市場から一掃して価格上昇に寄与してくれそうな、目ざとい投資家も様子見を続けているという。

JLLによると、第2・四半期にマンハッタンのビルでローンの残額が市場評価額を上回った物件の数は112棟、3340万平方フィートで、前期の73棟、1510万平方フィートから増加した。

ニューヨークでは過去数十年で最大の建設ブームとリノベーションによって潤沢な供給が維持され、賃貸物件を求めるテナントにとって有利な状況が続く。リノベーションのコストは1億ドルを超えることが珍しくない。

不動産仲介会社CBREグループによると、事務所スペース賃借需要の強さを示す「ネットアブソープション(実質賃貸契約面積)」は供給過剰を示すマイナスだ。マンハッタンでは足元、オフィス勤務がパンデミック前の水準を上回ったにもかかわらず、ネットアブソープションはマイナスの度合いが拡大している。

JLLのリポートによると、賃貸面積は昨年第2・四半期から46.7%減少し、四半期ベースでは2021年の第1・四半期以来の低水準となった。

しかし不動産大手サビルズによると、マンハッタンですぐに利用可能なオフィス面積は現在7030万平方フィートと過去最高だ。

ネルソン氏は、「住居への転用が話題に上っている。確かに部分的には可能だが、可能性が誇張されすぎている」と述べた。

家主は募集ベースの賃料を上げるため、コンセッション(1カ月間無料にしたり、各種の費用を負担するなどの特典)を増やしている。賃料自体はパンデミック期間中も安定していた。

テナントのオフィス修繕費用を賄うなどのコンセッションを計算に入れた実質有効賃料は、高級物件の場合、2020年の1平方フィート当たり53ドルが今年は同106ドルに倍増した。しかし老朽化した「Bクラス」のビルのオフィススペースの実質有効賃料はパンデミック期に48ドルから50ドルへと小幅な上昇にとどまり、高級物件とそれ以下の物件の間で需要の二極化が起きている。

#オフィス市場(マンハッタン)

最近の人工知能(AI)ブームは2000年代初めにソーシャルメディアが誕生した時以来の熱狂的なもので、投資家は生成AIに多額の資金を注ぎ込み、サンフランシスコにおける新たな起業を後押ししている。

そこでこの黎明期にあるAIセクターが、新型コロナウイルスパンデミック後に衰退が進むサンフランシスコ市中心部の再生に貢献してくれるのではないか、との期待も生まれた。

だが急成長を続けるAI事業は、市の経済や商業不動産にとって「特効薬」にはならないかもしれない。ロイターが取材した十数人の業界専門家はこうした見方を示した。

AI関連企業はスリムな人員規模を維持して業務を自動化することにこそ強みがある以上、いくら生成AIが盛り上がっても雇用を大きく創出してくれないからだ。

シリコンバレーの投資家、ジェレミア・オーヤン氏は「サンフランシスコの商業不動産がAIのおかげで持ち直すという楽観的な予想は控えるべきだと思う」と語り、AIスタートアップ企業は仕事を人間に任せる前にAIに割り振ると指摘する。

サンフランシスコのブリード市長の事務所がベンチャーキャピタル企業のデータを使って分析したところでは、米国の最有力AI関連企業20社のうち11社が同市にあり、2008―23年に合計で157億ドルを調達した半面、市内の雇用数は3400人に過ぎなかった。

これはサンフランシスコ中心部がパンデミック中に失った推定15万人の日勤労働者のたった2.3%だ。同市ではコロナ禍に見舞われる前まで、総生産の75%近くをオフィス勤務の労働者が生み出していた。

サンフランシスコに拠点を置くインデックス・ベンチャーズのパートナー、エリン・プライス・ライト氏は「これらの(AI)企業は、エアビーアンドビーないしドロップボックスのように何千人もの従業員を採用せず、カフェテリアも持とうとしないのはほぼ間違いない」と述べた。エアビーアンドビーとドロップボックスはいずれもサンフランシスコに本社があり、合計でおよそ1万人が働いている。

対照的にマイクロソフトが出資し、爆発的に普及した対話型AI「チャットGPT」を開発したオープンAIの場合、過去8年で110億ドル余りを調達しながら、従業員数は500人程度にとどまる。サンフランシスコのミッション地区に本社を構える同社は、問題解決にはAIを駆使するのが流儀だ。

例えば顧客からのサポート要請への対応として、オープンAIは自社AIに従業員がより効率的に対応するのを手助けする方法を学習させる道を選んだ、と従業員の1人が明かした。

個人個人のニーズに合った買い物をオンラインで提案しているオクテインAIのマット・シュリクト最高経営責任者(CEO)は「われわれはAIが本物の従業員として機能する段階に到達しつつある。あなたたちが生きている間に、1人で立ち上げた企業の価値が10億ドルになる光景を目にするだろう」と予言した。

<誰が果実を手にするか>

サンフランシスコは麻薬やホームレス、住宅価格高騰といった社会問題に悪戦苦闘しつつも、ブリード市長が最近名付けた「AIの世界的な首都」として認められるという評価を得ている。

その一例として、ドバイに拠点を置く起業家マイク・グラボフスキ氏はロイターに対し、自身が見た投資家オーヤン氏による6月のツイートの内容を教えてくれた。それによるとサンフランシスコでは、2週間のうちに44件、1日当たり約3件のAI関連イベントが開催されたという。

サンフランシスコのこうした熱気は、パンデミックからさかのぼること10年前にアルファベット傘下のグーグルなどがオフィスを開設し、幾つものスタートアップ企業が市経済においてより重要な部分を担うようになった景色を彷彿させる。

そして同市は、ツイッターに適用したようなテック企業の本社を呼び込むための8年間の給与税支払い減免措置を通じて、ハイテク産業の一大拠点になった。

ところが最近は中心部の空洞化を物語るニュースが次々に出てきている。

不動産会社CBREによると市内のオフィスビルの空室率は30%超に達しているほか、ベンチャーキャピタル企業はより落ち着いた地域を選び、多くのハイテク企業は人員削減も進めている。市政府のデータでは、サンフランシスコ中心部を走る高速鉄道「BART」の輸送客数は依然としてパンデミック前の3分の1にとどまる。

麻薬のまん延とホームレス増加で、観光客や出張者は中心部に行くのを敬遠し、一部のホテルは資金繰りが危機的状況になっている。百貨店ノードストロームを含む複数の小売り事業者は、低調な客足を嫌って中心部の店舗閉鎖に踏み切った。

専門家の中からは、従来のハイテクブームとは違う形になるとしても、いつかはAIが市経済を押し上げてくれると期待する声が聞かれる。ルートVCの投資家リー・エドワーズ氏は、以前は幾つかの大手IT企業が数千人規模で雇用する構図だったが、AIが企業経営のハードルを下げてくれるので、今後はより多くの小規模企業が生まれて数十人単位で採用され、やはり全体の雇用は増加するとみている。

ただAIの果実は結局少数者の手に帰し、既に市内で広がっている格差を一層拡大するだけだとの見方もある。

マサチューセッツ工科大でテクノロジーが格差に及ぼす影響を研究しているダロン・アセモグル氏は「生成AIは、これまでのデジタル技術よりも集中度が高く、一握りの企業が先頭に立つことになる。経営部門トップや比較的上位層のエンジニア、プログラマー、管理職らが多くのメリットを享受する」と述べた。

#オフィス市場(サンフランシスコ・AIブーム)

#高給取り(ウォール街・弁護士)

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