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英国北部スコットランド自治政府のハムザ・ユーサフ首相が29日、辞任すると表明した。自身が党首を務めるスコットランド民族党(SNP)と緑の党の連立政権を解消して以来、政治の混乱が続いていた。

連立政権解消を受けて週内に不信任投票が実施される見通しとなる中、ユーサフ氏は否決に十分な票を取り付けられなかった。

同氏は自身以外の人物がトップに立たなければ政治的分断を埋められないと判断したと表明。SNPの党首選で後任が選出されるまで職にとどまると述べた。

同党はスコットランド自治政府を17年間率いてきたが、党資金の流用疑惑が浮上し、昨年にSNP党首だったスタージョン前首相が退陣したことを受けて、支持率低下に見舞われている。

年内の実施が見込まれる英議会選挙に関する調査会社ユーガブの今月の世論調査では、スコットランドで英野党労働党の支持率が10年ぶりにSNPを上回っており、スコットランド議席の大半をSNPが握るという状況が変わる可能性が強まった。

スコットランド自治政府のハムザ・ユーサフ第一大臣(首相に相当)は29日、辞任を発表した。

ユーサフ氏は、2023年3月にニコラ・スタージョン氏の後継として首相に就任。イギリスでイスラム教徒が主要政党を率いるのは、ユーサフ氏が初めてだった。さらに、イギリスの分権政府で初の少数民族出身の指導者だった。

しかし、連立する緑の党との対立からスコットランド議会で過半数を維持できなくなり、わずか13カ月での退任となった。また、スコットランド保守党とスコットランド労働党がそれぞれ提出した2件の不信任決議案の議決が、今週にも予定されていた。
首相辞任に伴い、ユーサフ氏は所属するスコットランド国民党(SNP)の党首も退任する。SNPでは今後、党首選が行われる。

ユーサフ氏は25日、スコットランド緑の党との連立を解消すると発表した。連立を維持すると発表してからわずか48時間後の方針転換だったため、緑の党の怒りを買い、議会での必要議席を確保できなくなった。SNPはスコットランド議会で過半数に達していない。

その後、保守党と労働党が、ユーサフ氏とスコットランド政府それぞれに対する不信任案を相次ぎ提出。緑の党は、ユーサフ氏に不信任票を投じると述べていた。

ユーサフ氏は26日の時点では、信任投票に勝ち、今年の総選挙と2026年のスコットランド議会選挙で、自分がSNPを率いると断言していた。

立破棄を「過小評価」と
エディンバラの首相公邸ビュート・ハウスで辞任を発表したユーサフ氏は、緑の党との連立解消にあたっての自分の対応の影響を、「明らかに過小評価していた」と認めた。
「我が党にとって、政府にとって、そして私が率いるこの国にとって何が最善か、週末を費やして考えた結果、政党間の関係を修復するには、他の誰かが指揮をとるしかないという結論に達した」と、ユーサフ氏は述べた。

ユーサフ氏は辞任演説の中で、妻と子供たちに敬意を表しながら、感情をあらわにした。

「私が愛する国、私が家族を育てている国、そして私が故郷と呼ぶ唯一の国の第一首相を務めることは、言葉に尽くせないほど光栄なことだ」
スコットランドで生まれ育った私は、いつか自分の国を率いる恩恵を手にするとは夢にも思っていなかった」
「私が若かった頃、私のような見た目の人間は、政府を率いるどころか、政治的影響力を持つ立場にもいなかった」
「我々は今、ヒンドゥー教徒のイギリス首相、イスラム教徒のロンドン市長、黒人のウェールズ第一大臣、そしてあと少しの間スコットランド系アジア人の第一大臣がいるイギリスに住んでいる」

スコットランド緑の党のパトリック・ハーヴィー共同党首は、ユーサフ氏の退陣は正しい判断だと述べ、緑の党や「安定した、進歩的な、独立支持の政府を望むすべての人々との信頼の絆」を壊したと非難した。

一方でハーヴィー氏は、「このような結末になったことは残念で、こうなる必要はなかった。この結果に私たちは決して喜んでいないし、満足感も感じていない」と述べた。

その上で、緑の党は新たな連立政権に参加する意思はないとした。

BBCスコットランドの取材では、緑の党はどちらの不信任案も支持しないとしており、不信任案は否決される見通し。

一方、スコットランド政府への不信任案を提出したスコットランド労働党はすでに、ユーサフ氏が辞任しても、不信任案を取り下げないとしている。

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