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【「書かない」と「書けない」の違い】
〜“論証”だけでなく“あてはめ”にも直結する決定的差〜

司法試験(予備試験含む)の論文試験対策において、「論証はできるだけコンパクトに」と言われることが多いですが、この言葉を誤解すると非常に危険です
特に、「(丁寧に長く)書けるけど、あえて書かない」のと「そもそも(丁寧に長く)書けない」のとでは、合否を分ける決定的な差となります
以下、この観点から論文試験対策の注意点をまとめます

1. 「書かない人」は、規範の意味・趣旨を理解している
「書けるけど、書かない人」は、単にフレーズを暗記しているのではなく、規範の意味・趣旨、立法目的等の理論的背景、判例における事実の特徴を踏まえて、あえてコンパクトに論証しています
つまり、
① 問題の趣旨・事例との関連性を意識して、必要な論証を取捨選択できる
② 事例に即した規範の「使い方」がわかる
③ 重要な事情・事実を拾い、規範との関係で評価できる
という力があり、論理的で説得力のあるあてはめが可能です

2. 「書けない人」は、そもそも規範の意味が曖昧
一方、論証を表面的に暗記しているだけの「書けない人」は、規範の意味や目的を深く理解していないため、
① あてはめでどの事実をどう評価すべきかがわからない(=法的な意味のある評価になっていない)
② 結論だけを断定して終わってしまう(=理由づけが弱い)
③ 要するに事実を単に列挙するだけで、評価・判断になっていない
といった典型的なミスを犯しがちです

つまり、「あてはめ力」は規範理解に支えられている、のです

規範をただ“知っている”だけでは、具体的事案に対して柔軟に対応できません
論証を丁寧に「書ける力」があるということは、規範の運用に耐えるだけの理解があるということです
だからこそ、その答案のあてはめは的確になるのです

3. 現在の司法試験では「事実評価・あてはめ」が勝負どころ
司法試験論文試験の答案では、実実の評価・あてはめに重きが置かれており、抽象的規範のもとで具体的事実を適切に評価することが求められています
事実の取捨選択と評価が甘い答案は、論理性・説得力に欠け、点数が伸びません

したがって、論証は「短くていい」ということの意味を文字通りにとらえて、安易に暗記に走る勉強をしてしまうと、その土台となる規範理解が不足し、あてはめで致命的な弱点が露呈することになります

4. 過去問の検討や答練では、「あてはめの理由づけ」を丁寧に確認する習慣を
答案では抽象的な規範の論証はコンパクトにしつつも、
① 自分の答案において、規範との関係において、なぜそのように事実を評価したのかを説明できるか確認する
② 事実を並べるだけで終わっていないか、「その事実がどう影響するか」を説明しているかをチェックする
これらを、参考答案や出題趣旨と比較し、評価の観点がずれていないか検証してください

■ 結論:論証の丁寧な理解は、あてはめ力を支える基盤
したがって、あてはめが重視される現在の論文試験においては、丁寧に論証できる力=規範を具体的に運用する力が極めて重要です
その上で、コンパクトに論証できる表現力を身につけてください
表面的な論証丸暗記に走らず、規範を「理解して運用する」ことを軸に学習を進めましょう

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