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10月23日「三上の読書」

つまらぬ小説や愚論に類するものはなるべく読まぬようにすると共に、心が浄化されるような立派な書を読むべきである。
特に朝、それも1時間とは言わぬ、30分でよい。
昔の人も枕上(ちんじょう)・馬上・厠上(しじょう)の三上の読書ということを言っておるが、私は長年必ず厠(かわや)で読むことにしておる。厠で読むだけの時間であるから、何枚も読めるものではないが、十年、二十年と経つと、自分でも驚くほどの量となる。

しかもこれは数量の問題ではない。その時に受けるインスピレーションというものは、到底書斎の中で何々の研究などをやっておって得られるものではない。
況(いわん)やこれから安眠熟睡しようという枕のほとりにおいておやである。寝る前に週刊誌等を読むのは最も愚劣なものである。

「煎茶三煎」

茶はそもそも煎ずるものである。
湯加減を良くして、その芽茶をい第一煎で、中に含まっている糖分の甘みを賞する。
次に第二煎で、茶の中のタンニンの持つ渋味が出てくる。
子どもは皆甘いものが好きである。人間も未熟な者を甘いという。それが色々と生の経験を積んでくると渋くなる。

しかし、渋い、というのは甘いの反対や相剋ではない。
甘さが内奥に融けこむのである。

この茶をほどよく三煎すると、始めて苦味が出てくる。人間もこの苦味が出てこなければならない。良薬は口に苦い、苦言を好むほどの人間でなければ話せない。

いきなり折角の芽茶に熱湯を注いで、甘いも渋いもなく、苦々しくしてしまうのが「芽茶苦茶」である。
(『東洋的学風』)

百朝集その53.五医

費を省いて貧を医(いや)す。
静坐して躁を医す。
縁に随って愁を医す。
茶を煎じて倦(けん)を医す。
書を読みて俗を医す。
(金 蘭生『格言聯壁』)

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