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社説1 世界の構図を変えたイラク戦争の5年(3/21)

 イラク戦争などの膨大な出費によって、クリントン政権時代に均衡した米財政収支は赤字に転じ、米国は中国や中東産油国などの米国債投資に依存する形になった。米国のサブプライム問題を発端とする国際金融不安では、米欧の大手金融機関の救済まで産油国などの資金に頼る構図が顕在化した。ドルの価値の下落が加速し、世界の基軸通貨としてのドルの地位も揺らいでいる。

 5年前には想像もできなかったほど米国の力にかげりが広がった。代わりに今、世界の重しとなれる国や地域もない。だからこそ、主要国すべてが国際的な問題への責任を強く問われている。日本も内向きの政争に明け暮れている場合ではない。

地方分権「従わぬ官僚はクビ」 丹羽改革推進協委員長

 福田首相は21日の閣僚懇談会で、全閣僚に地方分権に取り組むよう指示した。

 「地方に仕事を渡さない理由は、へりくつばかり。公園の木も、県の管理と国の管理では育ち方が違うと言う。いま各省は地方に『文句を言うなら補助金交付金を減らすぞ』と言える。主従関係にあり、甘い権益を持っているから分権にウンと言わない。各省は好き放題やってチェックもされない。まるで独占企業体だ。このままでは国も地方も財政が硬直化して滅びる。だから分権を起爆剤に日本を再生する。最終的には道州制の方向に進むが、まずは分権することが大事だ」

【世界を斬る】(3)国家と民族主義 ナショナリズム操る誘惑

 佐藤 僕も官僚に足をかけていましたから、官僚の気持ちがわかるし、官僚でない人の世界もわかる。岡本さんも同じだと思うんです。僕は新自由主義に批判的なので「反小泉」に見られるけど、必ずしもそうじゃありません。小泉改革は必要・必然です。避けることはできなかった。

【詳説・戦後】第9回道路特定財源 議員立法で成立、角栄の執念

 「戦後の政治家は行政に精通し、予算書が読めて、法律案文を修正することが政治だという錯覚に陥っている者が多い。けしからん。自らの手で立法することにより、政治や政策の方向性を示すことこそ、政治家本来の姿だ。政策を作れんヤツは政治家を辞めた方がいい」

当時、建設官僚だった川島博はこう証言している。「議員立法であれば内閣法制局の厳重な審査ではなく、衆院法制局の簡単な審査ですむ。何よりもGHQ(連合国軍総司令部)がノーマークでフリーパスにしてくれる。そこで田中氏に(立法を)頼んだんです」

 当時、田中は「これで電力拡大のメドはついた。次に敗戦で崩壊した日本経済復興の牽引(けんいん)車は何か。交通網の整備である。わが国の国民総生産は鉄道の建設テンポに大体比例して拡大してきた。私はその鉄道に次ぐ第二の交通網は道路だと思った」と語っている。

「米国ではどのようにして広い国土を覆う道路網の整備財源を出しているんだ。調べてくれ」と依頼した。井上は田中に「米国ではガソリンの税金を道路整備財源に充てています」と報告。田中は「そうか、それはいい考えだ」とひざをたたいた。

 当初、法案には「政府は当該年度の揮発油税収入を、道路整備の財源等に計上しなければならない」と記されていたが、田中は「揮発油税収入を」の部分を「揮発油税収入相当額以上を」に修正した。

 49年3月22日、衆院大蔵委員会。委員長の安倍晋太郎の声が響き渡った。揮発油税などに2年間の暫定税率を加える租税特別措置法改正案が可決された瞬間だった。採決に先立ち、賛成討論をしたのは当選1回の小泉純一郎だった。

小泉は「揮発油税引き上げは、現今の石油情勢の下において資源の節約と消費の抑制を図るとともに、道路財源を充実するものとして当を得た措置だ」と訴えた。

 暫定税率で膨らんだ道路特定財源は全国の道路整備に投入され、地域の発展に貢献したが、道路族議員建設業界、官僚が一体となった「既得権益」と化した負の側面もある。

政官業癒着の典型が道路特定財源でもあった。

【第四回】「明るくて良い存在」であれ

能力の高い人たちがオープンな場で人間的に鍛えられ、成長していくプロセスそのものがないんですね。

キャリア組の中にすぐれた人がいることは否定しないけれど、総体として、こういう仕組みは、優秀な人間は表からは見えないけれど、裏で闇将軍的に力を持つという形をとりやすい。

シリコンバレーならそれが当たり前なんです。投資家は、親子くらい年の離れた起業家を伸ばすために、真剣に叱りますよ。大組織でも、GEで行われている幹部教育なんか、そういう側面がありますよね。

だから、「愚者の楽園」(日下公人)になっていて、それを守ろうとするから内向きになって、「日本式」だ「情」だという。しかし、これは「和の精神」ではない。宗教的には「世間愛(自分たちの仲間さえ利益を得ればよいというあり方)」というものだ。

福田首相の限界〜改革すべき統治構造に自ら乗ってしまった

私は、郵政民営化に賛同したものの、それが「改革の本丸」であるとは今でも思っていない。ただ、バスの行き先をさえぎるさまざまな障害を押しのけて突き進んだ小泉運転手には心から敬意を表している。

政官が癒着した今までの統治構造そのものの改革が課題となっているとき、その統治構造に乗って政治をしようとするところに福田政権の本質的な限界があるのだと思う。

日銀総裁空白の異常事態 世界に取り残されるニッポン

福田首相ダボスで、「日本は自由主義の国であり、世界の資本がどんどん入ってきているし、日本からも出て行く」と、開国宣言をした。日本は自由主義経済であり、構造改革を続けるという宣言をしたのだ。

ところが、実態はどうか。構造改革とは全く逆の動きをしている。

大連立騒動以後、小沢さんは決断する力を失った。民主党の中で決断する場所は小沢さんから離れて、しかもどこにもない。

民主党が元財務事務次官武藤敏郎・日銀副総裁の昇格案に反対すると、自民党黒田東彦アジア開発銀行総裁(元財務官)を総裁にしようとした。しかし、黒田さんが日銀総裁になると、アジア開発銀行総裁のポストが中国に取られると、外務省が嫌がって拒否した。

次に政府は、渡辺博史国際金融情報センター顧問(元財務省)を総裁にしようとした。ところが今度は財務省が、ランクが違う、年次が違う、若すぎるということで拒否した。

今や、政府側には持ち駒がない状態だ。小泉さんが首相ならば、むしろ民主党に下駄を預けることで解決をはかって、自民党ペースを取り戻そうとしたと思う。福田さんにはそういう意思、気力が全く感じられない。

支配権めぐる競争促せ
新井 富雄 東京大学教授
 日本の資本市場が現在の経営者だけにとって居心地のよい、流動性と投資家の多様性に欠けた市場になってしまったとき、海外投資家ばかりでなく国内投資家にさえ見放されてしまうことを、企業を含めた市場関係者は認識すべきである。

日経新聞朝刊)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20080306#1204790772