伝説の投資家ジム・ロジャーズが明かす「為替投資術」
サブプライムローン問題、すなわち(米国の)信用バブル崩壊
あと5〜6年はかかる。
通貨の価値を下げることで国際競争力を取り戻そうとした国は歴史上いくつもあるが、この方法は短期的には有効であっても、中長期的には失敗する。
悔やまれるのは、なぜ景気後退をもっと早く起こさせることができなかったかということだ。景気後退には経済システムを正常化させる機能がある。
そう思うなら、人民元を売ればいい。私が買い取ろう。オリンピックと一国の景気を結び付ける議論はナンセンスだ。
そもそもどんな国の経済にも景気の後退局面はある。しかも、それは、前述したように、必要悪だ。中国は今、ひどいインフレに直面していて、それゆえに社会不安が高まっている。調整は当然起こってしかるべきものだ。
唯一問題を指摘すれば、中国の為替政策だ。
私は完全変動制を採るべきだと思う。
端的にいえば、円やスイスフランのキャリートレードの終焉を見越したものだ。
また、混乱の時代こそスイスフランに頼るという伝統的な考え方にも私は賛成だ。
――ユーロには注目しないのか。
かなり持っているが、現在買い進めてはいない。円やスイスフラン、人民元ほどの価値を見出せないというのが本音だ。
――ユーロはドルに肩を並べるキーカレンシー(基軸通貨)になるとの意見もある。
私自身は、そのような議論に着目して、通貨を買い進めたりはしていない。ただ、ドルが基軸通貨としての地位を失いつつあることだけは事実だ。
唯一の例外が日本だ。私が売るドルを日本政府が買い続けてくれるのはうれしいが、ドルに嫁入りしたままの状況は再考したほうがいい。
マジックはない。基本的には、貿易収支が悪化しているか改善されているか、外貨準備の価値が増えているか減っているか、今後どうなりそうかを見る。あとは、政府の経済運営の姿勢、そして経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)だ。それを基に、自分で判断する。