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『私の履歴書―保守政権の担い手』
P385

夜、店に戻ってから、昼間の事故について報告し、軽率をわびるとともに、原価の合算額を月割りで返済することを申し出たが、五味原さんは「けががなくてよかった。おとくいさんに代わりをすぐ届けてくれたことは何よりだった」といやな顔の一つもせず、奥さんのお仲さんも「心配しなさんな、損はかせげば取り返せるから、くよくよしないよう」と理解ある態度であった。
「覆水盆にかえらず」ということわざもあるし、砕けたさらは原型に復すことはできないことを知りながらも、つい「ぐち」がでるものである。私はこのときこの夫妻から学んだことが基になって、どんな人のことでも不注意による過失については、絶対にこれをとがめずの原則を立てたし、妻や子供にも強くこれを求めているのである。