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「身分官僚制」打破こそ本筋
安念 潤司 中央大学教授
 公務員制度に関する根本的な問題は、総合調整機能の独占、無駄遣い体質、仕事の質などではなく、日本の官僚制が、外界との相互浸透作用のない、秘密結社にも似た極めて機密性の高い人間集団で構成されてきた点にある。そして、こうした集団を築き、維持する上で人事制度が決定的な意味をもった。
<中略>
運命共同体としての官僚制(略)職業というより一種の身分
<中略>
非公式な入力経路を有する団体や組織、例えば、族議員やある種の業界団体は、非公式な特権的地位を得る結果となった。(略)両者が過度に密接な関係を築いて、公務員でありながら政治的な行動をとることが常態化した。(略)その結果、政治と行政、議員と役人の責任の分界があいまいになったのである。
<中略>
その意味で、今回、公務員の人事制度見直しが焦点のひとつになっていることは的を射ている。
<中略>
問題は、これらの課題設定が大筋で妥当でも、何一つ簡単に答えの出せるものがないことだ。
<中略>
最後に、改革のはらむリスクについても言及すべきだろう。(略)逆説的な言い方だが、今次の改革が成功すれば、この書類仕事の質の低下という結果を招くかもしれず、しかもこれは、決して無視できるようなリスクではない。しかしこれは、より成熟した民主主義を目指す以上、冒すに値するリスクなのである。

日経新聞朝刊)
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