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田原総一朗の政財界「ここだけの話」大統領単独インタビューで感じた最高責任者の悲哀

 ホワイトハウスは正面から見ると真っ白で立派な建物だが、中に入ると廊下は狭く、それぞれの部屋も小さくて非常に驚いた。

 僕はよく講演でホテルに行き、その際に、ホテルの調理場や物置がある裏通路を案内されるのだが、ホワイトハウスの内部は、そのホテルの裏通路に似ているような印象を受けた。

 途中で大統領が記者会見をする部屋も通ったのだが、僕の予想よりもはるかに狭く、14、5畳くらいしかないように見えた。記者の席もせいぜい40か50くらいしかない。古い建物だからすべて小さいのだろう。

日本の場合は、自由主義経済といいながら、ほとんど80年代までは社会民主主義をやってきた。

 日本は、自由主義経済でも、社会民主主義でもどっちでもよいのだ。理念、理論というものがあまりない。

 むしろ、どちらが都合がよいか、どちらが便利かということで自由に変えていく。

 アメリカはやはりまず理論、理念ありきなのだ、ということを非常に強く感じた。

 僕が日本一の音楽家だと思っている三枝成彰さんにこの話をしたら、彼は「音楽がまさにそうだ」と言っていた。

 日本人はなぜ音楽を聴くのかというと、情緒だ。気持ちが癒されたりリラックスできたりする。

 一方、西洋人にとっての音楽(哲学者カントの登場以降)は、情緒ではなくメッセージ(思想)なのだそうだ。西洋人にとって音楽を聴いて気持ちよくなるのは悪なのだ。あくまでも音楽はメッセージであり、気持ちよくさせるような音楽は堕落なのだという。

 ヨーロッパの人間は論理を重んじる。これがイデオロギーになる。日本人は情緒を重んじる。これが曖昧さや柔軟性になる。そのことをとても強く感じた。

 アメリカには「大変だ」と言っている人はいない。回避するために「ああいうことをやるべきだ、こういうことをやるべきだ」と極めて具体的で論理的な対策を述べている。

 僕がアメリカで逆に感じたことは、金融恐慌は来ない、ということだ。アメリカ人は、金融恐慌は来ないと自信を持っている。ただ、不況をどうすれば脱却できるかと懸命に考えている。

 日本では、金融恐慌も不況も、何もかもごっちゃにして大変だと騒いでいる。

だから、情理を尽くして、長い目で多面的に根本的に考察することが大切なのです。