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宮田秀明の「経営の設計学」アメリカ経営学からの決別

 彼は3年前から、サブプライムローン証券化ビジネスのバブル的な問題点を指摘し、同時にCO2排出量取引が同じようなバブルを引き起こす危険性があると警鐘を鳴らしている。価値のないものに価値を与えるようなビジネス、リスク管理のできていない商品を世界中に広めてしまうビジネスの危険性と、それを止められない株主資本主義の限界を説いているのだ。

 原さんの主張する「公益資本主義」は、私の「ビジネスを社会システムと考える」という考え方との共通点が多くてうれしかった。

 価値の創造は企業と顧客がWin-Winの関係を作って初めて成立する。企業の創造した価値を顧客が認め、対価を支払うことによって一番基本の価値の循環が発生する。企業と顧客との価値の循環関係を作ることに成功したなら、生まれた利益が株主にも還元され、2番目の価値の循環が発生し、事業として成立するようになる。このように、価値の循環関係(バリューチェーン)は、企業と顧客が一緒に1つの社会システムを構築していることが基本と考えるのがいいのだろう。

 ビジネスにとって、一番大切なのは顧客満足度を高めることだ。商品が優れているから売れるのではなくて、顧客満足度が高いから売れる。顧客満足度を高めるためには、マーケティングも大切だが、それより、そのビジネスでは企業と顧客が協力し合って1つの社会システムを作っていて、そのシステムをもっと良くしたり、最適化するためにはどうすればいい社会ができるのだろうかと考えるのが大切だ。そしてその結果として、新しいビジネスモデルが生まれたり、企業の価値が保たれたり、高まったり、企業が存続したり、成長したり、進化したりする。

 独自の文化や、独自の人生観、価値観、文明観による新しい経営学を構築することが求められている。