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『昭和史 戦後篇』
P207

続いて同年の暮れ、十二月二十二日に片山内閣のもとで「民法」が改正されます。日本がこれから民主国家になろうというのですから当然、すべてにおいて民主的かつ自由平等的でなければならない、すると、どう考えてもそれまで日本人が保ってきた封建的家族制度は全否定されなくてはならない運命にありました。というわけで、夫婦平等、戸主権や長子相続権の廃止、成年者の自由結婚の尊重(親の許しはいらない)――現在のわれわれの暮らしを見ればわかることが、どんどん決まったのです。元東大教授の養老孟司さんは、「戦後日本をおかしくした最大の要因は民法改正だ」とおっしゃってました。過去の全否定でなく、非常に大事な法律ですから、もう少しきちんと考えて、うんと議論を重ねて改正すべきであったと。そうなんです、この結果、おやじさんは「月給運搬入」となって権威失墜、昔は一番偉い戸主のもとに集まって暮らしていた大家族主義は核家族となり、全相続権をもつ長男が親の面倒もちゃんとみるという既定の事実もなくなった。今まで威張っていた男の権威はどこへやら、居場所もなくなり、濡れ落ち葉、「オヤジ、もう少ししっかりしろよ」という現代の風潮につながった……ですが、この民法改正以来培ってきた民主的かつ自由平等的社会は、とうてい元に戻すことなどできないでしょう、そう私には思えます。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090116#1232076138(元凶)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20080702#1214949202(男女のあり方)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20080408#1207652686ポストモダンの本質)

絹と明察 (新潮文庫)

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松岡正剛の千夜千冊『絹と明察』三島由紀夫