吉崎 達彦
プリンシパル(仕事を頼む側)とエージェント(仕事を受ける側)の間の情報落差が、昨今起きている問題の相当部分を占めている。
例えば医師と患者の信頼関係、官僚と政治家の力関係がそれに当たる。エージェントにうそをつかれても、知識がないプリンシパルにはなかなかそれが分からない。
このように考えていくと、今の金融不安は典型的なプリンシパル/エージェント問題のバリエーションだ。知らないことは専門家に丸投げし、プリンシパルは自分が持つ金融商品の中身を全く知らなかったために引き起こされた悲劇だ。
確かに解決は容易ではないが、解決策の一つとしてゼネラリストの復権が大事だと考える。
(日経新聞朝刊)