宮田秀明の「経営の設計学」「非線形」を解かねばならない経済学
昭和初期の大恐慌ももちろん大規模で非線形な経済現象だ。しかし、以来80年を経ているが、社会科学と経済学の進歩はゆっくりすぎて、いまだに非線形な現象を制御できないのだ。
金融商品は2週間で作ることができると言われている。
しっかりしたリスク評価を行おうとすれば、金融商品が2週間で作れるわけがない。
「造船会社では難しい研究をして、先生にはシゴかれましたけど、証券業界では、もっともっと簡単な数学で仕事できるんです」
エコノミストの中には、「このようなことは周期的に8年ごとに起こるものですよ」と言う人さえいる。一種の循環論を持ち出して、経済を正しく制御できなかった大失敗を片づけるのは間違いだと思う。
一方では、こんな非線形で複雑な現象が起きているのに、経済評論家やエコノミストの方々は相変わらず簡単な1次方程式のような解説をする。
しかし、今では、このような単純化(線形化)した論理は全部間違っているということを認めることから再スタートしなければならないのではないか。
私のような工学の人間にとっては、21世紀になっても「ケインジアン」と称する人が存在することが不思議である。