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著者より:「岐路に立つ日本企業と『進化の経営史』」

これまでも日本企業が歩んできた経路は、「発展」や「成長」という言葉がイメージするような単線的なものではなく、停滞と前進と後退が錯綜する複雑で多様なものであった。複雑で多様なプロセスのなかで組織が進化をとげるためには、何が必要なのであろうか。この問いに答えようと刊行したのが、『進化の経営史』にほかならない。

 以上のように命題間の関係を整理すると、本書は、経営者を中心とするヒトの主体的役割に注目して組織進化のメカニズムを追究したものであることがわかる。つまり、組織進化の主体性モデルを解明した書物であるわけだが、ここでは、相互関係を説明した1〜11の命題のほかに、12の命題が存在することを見落としてはならない。
 12の命題は、組織の進化を実現する主体的営為の担い手が、トップマネジメントに限定されず、組織内の不特定多数のメンバーに及ぶことを示している。そうであるとすれば、組織進化のメカニズムを真に解明するためには、(Ⅰ)個人レベルの主体的営為に光を当てるだけでなく、(Ⅱ)個人と個人とのあいだの相互作用、つまり、システムとしての対応にも目を向ける必要がある。(Ⅰ)の作業からは組織進化の主体性モデルが導かれ、(Ⅱ)の作業からは組織進化のシステム対応モデルが導出される。

しかし、組織進化のメカニズムを真に解明するためには、(Ⅰ)の作業の結果と(Ⅱ)の作業の結果とを統合しなければならない。両者を統合する作業は、『進化の経営史』の刊行を終えた我々にとって、残された課題である。

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