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100年に一度の霞ヶ関バブル 誰も書かない追加経済対策の正体|岸博幸のクリエイティブ国富論|ダイヤモンド・オンライン

霞ヶ関の官僚からは、「個々の予算の金額は、理屈がつく金額にゼロが一つ書き加えられた感じ」、「本予算の数年分のお金が一気にまとめて来ちゃった」といった話が漏れ聞こえてきます。

 90年代に経済対策が濫発されたときは、霞ヶ関の常識として、「本予算ではシーリングの制約が大きいし財務省の査定が厳しいから、欲しい政策予算を十分に獲得できない。だから、短期決戦で査定が甘くなる補正予算でガバッと予算を確保するんだ」というのが常識で、各省は補正予算の確保に血道を上げてきました。今回は、そうした悪しき風習が復活というよりも、「天の声で予算の桁が一つ増えた」というのが実態かもしれません。

15兆円の多くが今年度の補正予算で手当てされるはずですが、補正予算という性格上、今年度中に使い切らないといけません。ところが、昨年度に講じられた小規模の補正予算でさえ、年度末、つまり3月になって「予算が余っているんだけど、何か良い案件はないか」という相談が複数の官庁から私の周辺に来ていた位です。

 次に気になるのは、15兆円の中身が90年代と同様に、産業界という供給側にばかり行く仕組みとなっていることです。

 発表された資料から見る限り、15兆円のうち、個人や家庭に行く予算は多くありません。

 小渕政権のときは、98年11月に事業規模24兆円の、そして99年11月には事業規模18兆円の経済対策を講じました。これらの対策により政権の支持率と株価、そして経済成長率は短期的に上昇しましたが、その後のITバブル崩壊とともにすべて大幅に下落し、小泉政権不良債権処理を行うまで経済成長率と政権支持率は低迷を続けました。官僚主導の景気対策は短期的な効果しか持たず、日本経済の体質強化にはつながらなかったのです。

 ついでに言えば、今年15兆円の需要追加を行ったことで、来年は民間需要が大きく戻らない限り、今年の需要の穴埋めを行うことは困難です。かつ、財政収支も大幅に悪化します。即ち、15兆円という大盤振る舞いの財政出動を行った悪影響は来年以降に出てくるのです。