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『新憂楽志』
P47

松平定信が三十の若さを以て宰相の大任を受けた時、天明八年正月二日、人知れず本所吉祥院に詣でて納めた願文がある。
 松平越中守儀、一命に懸けて心願があります。経済・治安・威信すべて政道行われて万民救われますよう、私自身一命は勿論のこと、妻子の一命にもかけ奉り必死に心願致します。右の条々相調わず、人民困窮し政令行われず、世の中解体するようなことであれば、只今の中に私死去するようお願い申上げます。その方がかえって道に叶うように存じます。何とか中興の儀相叶いますよう偏に心願致します―。