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時代の風:脱・マニュアル選挙=同志社大教授・浜矩子

 延々と政権を独り占めにしてきた旧政党は、もはや、夢を見る力さえ失っている。惰眠をむさぼる烏合(うごう)の衆だ。というよりは、眠れない夜だけを共有する同床「無」夢の疲れた集団と化している。

 やれ財源だ、やれ工程表だと、お互いに攻め立て合ううちに、お互いにお互いの夢とビジョンをもみ消していく。なかなか、ケチくさい展開になっている。財源も工程表も重要ではある。だが、それも理念と哲学あってのことだろう。夢もビジョンもないマニフェストは、マニフェストではない。それは単なるマニュアルだ。

日本の政治家に最も欠ける普通なマトモさ。

 ドン・キホーテは老人だ。だが、彼の夢は大きく、心は若きビジョンに満ちている。彼の夢とビジョンを結びつける要には、強きをくじいて、弱きを救う騎士道精神がある。耐え難きに耐え、かなわぬ敵に挑み、正し難きを正し、天命とあらば、地獄に踏み込むを辞さず。これぞ、我が定めなり。

 こうしたドン・キホーテの心意気を歌にしたのが、ミュージカル「ラ・マンチャの男」の大ヒット曲、「見果てぬ夢」だ。これぞ、ドン・キホーテマニフェストに他ならない。そこに信条と心情の吐露がないものを、マニフェストとはいわない。



Marjolein Teepen - Wikipedia