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私と歌舞伎座 〜受け継ぐ伝統、新たな出発〜 第6回 尾上菊五郎

主君の義経の命を受け静を守りながら旅路をゆくのに、男女の色っぽさがでると忠信という役の芯がぶれてしまいます。最後の最後に狐の正体を現すところをドラマチックに見せるためにも、いかに忠義に厚い武士の肚を保つか。張りつめた気持ちで演じています

階段のところで反り返る時に長袴がきれいに揃っているか、その美しさを保ったまま動き続けられるかと神経も使います。

 「先代が作り上げた表現を身体に叩き込んでいますし、若い頃は共演者の皆さんが『先代はこうしていたよ』と教えてくださるものですから、型の意味を考えながら演じてきました。ところが演じ続けると、忠信の気持ちに自分が入り込んで生まれる動きというものもある。型を守る一方で、心の動きから出てくる所作で自分なりの芝居が作れるようになってきました。作って演じるのは楽しいですね」