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ミスター年金・長妻厚労相の苦悩をどう解決すべきか | 山崎元のマルチスコープ | ダイヤモンド・オンライン

 先ず、平野官房長官の言う「内閣の方針」の決定者は誰で、どのような手続きで決まったのか。鳩山首相の了承を得ているなら組織権限上はいいが、平野官房長官が何人かの閣僚と情報交換して決めたという経緯なら些か問題だ。民間会社でいうと、「社長室長」あるいは「経営企画室長」あたり(何れにしても社長に寄り沿う「経営茶坊主」)が、社長の威を借りて、社内に権力をふるうような構図だ。平野氏は、鳩山内閣の汚れ役的な役回りを引き受ける強面なのかもしれないが、彼が「官邸強化」と「官房長官の権限強化」をはき違えているようだと、内閣は前途多難だ。

 しかも、事項要求について、藤井財務大臣は「ほとんど実現できないだろう」と語った。かつて経験した大蔵官僚時代に覚えた「断固査定」の気分なのかも知れないが、マニフェストの重要項目が多数対象に入っていて国民の関心が高い内容について、「実現できないだろう」と言い放つ政治的なセンスと状況理解力の欠如にはあきれる。

本来は、新規に実施が必要な予算をさっさと予算化して、それによって圧迫される既存の経費に対して深く切り込むべきではないか。

 長妻氏は、敵対的買収で獲得した子会社に社長として送り込まれて経営を任されたような立場だが、親会社の古株役員達に意地悪をされて仕事の邪魔をされているような状態に見える。

民主党として、何を実現しようとしているのかを今一度整理して徹底すべきだし、調整が必要だ。企業なら、社是や経営方針の徹底が必要だし、社長(鳩山首相)ないし、実力オーナー(小沢幹事長)が組織を引き締める必要がある。

 こうした事例を考えると、専門性を持った官僚を政治家主導で使うという触れ込みのイギリス式だけでは不十分で、ポリティカル・アポインティーが可能で大胆な人事が出来るアメリカ式を取り入れないと省庁の改革は上手く行かないだろうということが実感される。

 しかし、長妻大臣の場合、現状の制約の下で何とかしなければならない。何とか実現すべきは、長妻氏を支える「味方」になるスタッフを厚労省の仕事に対して複数投入することだ。単に「ブレーン」だけでなく、「手足」や「目」になって厚労省改革を推進する腹心の部下がチームで必要だ。