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【正論】平成22年の初めに 宗教学者・山折哲雄

 このような政治状況の激変にふれて、私に溜(た)め息のような感慨がわく。なぜなら、かつて岩手は「日本のチベット」といわれて蔑視(べっし)の対象とされ、「日本」連邦の一番おくれた「後進国」のようにいわれつづけていたからだ。私は敗戦を岩手県花巻で迎えたが、そのときからすでに半世紀が経(た)っている。田中角栄氏が「新潟」をひっさげて日本を改造したように、小沢氏もまた師にならい「岩手」を掲げて日本を変貌(へんぼう)させようとしているように映るのである。感慨なきを得ないではないか。

 だが、待てよとも思う。その小沢氏の脳裏には、もしかすると同じ岩手の先人、原敬(たかし)のイメージが宿っているのではないか。なぜなら平民宰相といわれた原敬は、わが国にはじめて政党政治の軌道をしいた強力な政治家だったからだ。

 さて、ここでふたたび「日本が岩手県になっていく」というさきのネガティブ(?)・キャンペーンにもどると、私の眼前には岩手の生んだもう1人の詩人の姿が蘇る。宮沢賢治の存在である。

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