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【一服どうぞ】裏千家前家元・千玄室 「和敬清寂」の精神

 戦争などを起こしてはならないことは誰しもが知っているが、オバマ大統領は、ノーベル平和賞授賞式で「必要な戦争が起こり、それがあるから平和が維持できるのだ」といわれた。確かにそうであろうが、起こす方も起こされる方も、何らかの理由があってこそだが、戦争による無駄な殺戮(さつりく)や破壊は絶対にあってはならない。

 「人は二人以上になると傷つけ合うことがしばしば起こる。それを防ぐのが心の和である」と、千利休は一●(いちわん)の茶をもって戦国の武将たちに説いた。その精神を「和敬清寂」という。茶室には武士の魂といわれる大小の刀は、入り口の刀掛けにかけ、丸腰すなわち和の心をもって、狭いにじり口より入室する。同席する者は敬い合い、差別や区別は一切許されない。そして一●の茶を心ゆくまで楽しむ。清浄な雰囲気を醸し出す主客の交わりこそ、不動の信念すなわち寂を生む。このような場をつくることによって反目憎しみがうせ和らぎの道へと進んでいける。

春の花を賞(め)で楽しむ、そのゆとりが大切であり、そして散りゆく花を惜しむいたわりが、自然環境の破壊を少しでもとどめるのである。