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【賢者に学ぶ】言葉の破壊の行き着く先 哲学者・適菜収 - MSN産経ニュース

 これはジョージ・オーウェル(1903〜1950年)の近未来小説『一九八四年』に繰り返し登場する独裁政党のスローガンである。舞台はオセアニアと呼ばれるアメリカやイギリスを含む架空の大国。50年代に核戦争が発生し、その後、国民が全体主義の統治下におかれるようになったという設定だ。そこでは徹底した思想統制が行われ、「テレスクリーン」と呼ばれる双方向テレビジョンにより、あらゆる行動が監視されている。


 主人公の役人ウィンストンの仕事は歴史の改竄(かいざん)だ。「党」にとって都合が悪い過去の事実を抹消し、新たに歴史を捏造(ねつぞう)する。また、同じ省内では言葉の破壊活動が継続的に行われている。「ニュースピーク」は、「党」が英語をもとに作成した架空の言語である。その目的は「党」に反する思想を考えられないようにすることだ。「ニュースピーク辞典」の編纂(へんさん)に関わる登場人物のサイムが言う。


 「分かるだろう、ニュースピークの目的は挙げて思考の範囲を狭めることにあるんだ。最終的には<思考犯罪>が文字通り不可能になるはずだ。何しろ思考を表現することばがなくなるわけだから」


 語彙の削減、意味の反転、略語の作成、イメージの置き換え……。たとえば強制収容所を「歓喜キャンプ」と言い換える。平和省は戦争を維持し、豊富省は国民から搾取し、真理省は歴史を改竄し、愛情省は尋問と拷問を行う。


 もちろんこれらは現実の全体主義国家のパロディである。フランス革命後の政治状況においては、自由の名の下に自由の抑圧が、社会正義と人権の名の下に大量殺戮(さつりく)が行われた。ナチスソ連の独裁体制下においても、戦略的に言葉の言い換えが行われている。


 ウィンストンは仕事中に過去の重要な記事を偶然見つけ、「党」を疑うようになる。そして、ノートに自分の考えを記していく。発覚すれば処刑される行為だ。「自分は誰も耳を貸そうとしない真実を声に出す孤独な幻。しかし声を発している限り、何らかの人目につかない方法によってでも、真実の継続性は保たれる。他人に聞いてもらうことではなく、正気を保つことによってこそ、人類の遺産は継承されるのだ」


 しかし、事実そのものが抹消・捏造されるなら、やがて歴史の解釈すら不可能になる。


 ウィンストンは言う。


 「だが、その知識はどこに存在するというのか。彼の意識の中にだけ存在するのであって、それもじきに抹消されてしまうに違いない。そして他の誰もが党の押し付ける嘘を受け入れることになれば−−すべての記録が同じ話を記すことになれば−−その嘘は歴史へと移行し、真実になってしまう」

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140321#1395398402(That is the only tool there is, the only way is to inform public opinion about the true events, that is the only way, and that is what Russia’s opponents are most afraid of. )
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140315#1394880069(I'm on the side of sanity and mutual respect)