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【次代への名言】周五郎と周平編(6)

 何年の何月何日に、大坂城で何が起きたかは、問題ではない−と山本周五郎は語る。「そのときに、道修(どしょう)町の、ある商家の丁稚(でっち)が、どういう悲しい思いをしたか、であって、その悲しい思いの中から、彼がどういうことを、しようとしたかということを探求するのが文学の仕事だと私は思います」(『歴史と文学』)

 奇異である。物語はこの栄二を軸に進む。主人公は彼としか思えない。不器用な栄二の親友、さぶは、どう考えても、わき役だ。しかし、周五郎は言う。


 「いや、主人公はあくまでさぶだよ」

さぶ (新潮文庫)

さぶ (新潮文庫)

「おまえは気がつかなくとも」と岡安は一息ついて云った、「この爽やかな風にはもくせいの香が匂っている。心をしずめて息を吸えば、おまえにもその花の香が匂うだろう、心をしずめて、自分の運不運を考えるんだな、さぶやおすえという娘のいることを忘れるんじゃないぞ」

 本書には石川島の人足寄場のシステムの説明があり、そのシステムに感心した。一方で、システム、形式だけではダメだ、ということも感じた。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20100607#1275921669
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20080919#1221819338
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20100102#1262441391