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金融経済月報(8月) (PDF, 2129KB)

【概 要】
わが国の景気は、海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある。
輸出や生産は増加を続けている。設備投資は持ち直しに転じつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる。
そうしたもとで、個人消費は持ち直し基調を続けている。住宅投資は下げ止まっている。この間、公共投資は減少している。
先行きについては、景気は緩やかに回復していくと考えられる。
すなわち、輸出や生産は、増加ペースが緩やかになっていくとみられるが、海外経済の改善が続くもとで、増加基調を続けるとみられる。国内民間需要は、持ち直しを続けるものの、設備・雇用の過剰感が残ることや、各種対策の効果が薄れていくことなどから、当面、そのペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。この間、公共投資は、減少を続けるとみられる。
物価の現状について、国内企業物価の3か月前比をみると、製品需給緩和の影響が続く中、国際商品市況の反落の影響などから、上昇幅が縮小している。
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。
物価の先行きについてみると、国内企業物価は、国際商品市況反落の影響が続くことから、当面、弱含みで推移するとみられる。消費者物価の前年比は、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、基調的にみれば下落幅が縮小していくと予想される。
金融面をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物コールレート(加重平均値)は0.1%前後で推移しており、ターム物金利も横ばい圏内の動きとなっている。前月と比べ、円の対ドル相場は上昇しているが、長期金利は低下している。この間、株価は前月と概ね同じ水準となっている。
わが国の金融環境は、緩和方向の動きが続いている。
コールレートがきわめて低い水準で推移する中、企業の資金調達コストは、低下傾向が続いている。実体経済活動や物価との関係でみると、低金利の緩和効果はなお減殺されている面があるが、企業収益との対比では、その効果は強まりつつある。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は改善している。CP・社債市場では、良好な発行環境が続いている。資金需要面では、企業の運転資金需要、設備資金需要とも後退しているほか、一部に、これまで積み上げてきた手許資金取り崩しの動きもみられている。以上のような環境のもとで、企業の資金調達動向をみると、銀行貸出は減少している。社債の残高は前年を上回っている一方、CPの残高は減少している。こうした中、企業の資金繰りをみると、総じてみれば、改善の動きが続いている。この間、マネーストックは、前年比2%台後半の伸びとなっている。