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小泉「構造改革」の正しい評価が必要だ|山崎元のマルチスコープ|ダイヤモンド・オンライン

 菅氏は、16日、代表に再選された場合、小沢一郎氏を幹事長に起用しない方針を明らかにした。メディアの協力を得て、「小沢か、非小沢か」を再び争点にすることができれば、世論の支持も得て再選が可能かも知れない。しかし、その場合、民主党内の亀裂は大きくなるだろう。


 加えて、次期通常国会では、予算案は衆議院の優越規定で通るとしても、予算関連法案を通す見通しが立たない。加えて、世界的に経済対策の効果が切れる時期を迎えており、景気はしばらく下り坂だ。


 菅氏が少々続けることが出来たとしても、政権は立ち往生する可能性が大きい。連立の組み直しや、新たな連立を前提とした政党の再編が遠からず起こるのではないだろうか。

 与党である民主党内にも、前回総選挙のマニフェストに立ち返るべきだという声と、官僚組織に逆らって政権運営は出来ないのでマニフェストの見直しを積極的に行うべきだとする声があるように見える。今のところ、小沢氏に近いグループが前者、菅氏・仙石氏の路線は後者だろう。


 また、最近は注目度が下がっていて目立たないが、最大野党である自民党内にも、規制緩和と金融緩和を重視して名目成長率の引き上げを優先する「上げ潮派」的な考え方と、消費税率の早期引き上げを主張する「財政再建派」がいる。


 二大政党は両党とも一枚岩にはほど遠い。有権者としては、比例代表に投票する際に、党名を書いても、実質的に自分が何に賛成しているのか判じがたい状況だ。

 端的に言って、構造改革は、「宣言すれども、実行せず」だったのではないだろうか。

 小泉政権の頃と現状を較べると、議員定数は減っていない。公務員は少し減ったが、ペースが遅い。天下りはむしろ容認にすり替わり、廃止ないし民営化されるはずだった行政法人は、看板を変えながらほとんど全てが生き残った。国家予算で飯を食う広義の公務員は大きくは減っていない。


 電波の効率利用、医療の株式会社化の容認のような効果の大きい規制緩和はさっぱり行われていない。法人税減税でも、日本は現在税率引き下げの国際競争で大きく遅れを取っている。

 公平を期するために、進んだものも挙げると、公共事業の削減は随分進んだ。これは地方経済の地盤沈下に直結した。地方の公共事業は減ったのに、予算と権限の面での地方分権が進んでいないために、地方が浮上できないのだ。

小泉元首相は、方針を掲げたものの、実行が甘かった。彼の在任中によく使われた批判の言葉は「丸投げ」であった。小泉氏は、勇ましいことを言っただけで、実務を官僚組織に丸投げした結果、官僚の巧みなサボタージュや時間稼ぎによって、何れも「骨抜き」にされてしまった。

 小泉「構造改革」が実行面で進まなかった最大の理由は、小泉氏が公務員の人事制度改革を先送りしたからだ。敢えて一言言うなら、小泉氏は、負ける可能性のある喧嘩をしなかった。賢かったとも言えるし、情けなかったとも言える。

 結局、「構造改革」は殆ど実行されなかった、というのが、正しい事実認識ではないだろうか。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20100611#1276245504