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菅総理が自覚すべき民主党政権の欠陥は何か 〜飯尾潤・政策研究大学院大学教授に代表選後の課題を聞く|辻広雅文 プリズム+one|ダイヤモンド・オンライン

 菅氏は代表になると――過去もそうだったのだが――、輝きが薄れてしまう。総理になっても、消費税を巡って一人で空回りしてしまった印象だ。野党の斬り込み隊長としては図抜けているが、指導者として、とりわけ受けに回ったときにとたんに弱くなる。状況を的確に把握し、事を運ぶ論理と順序を検証し、戦略的に動く、ということが苦手のように見える。何かにすぐに反応し、行動してしまう。こうした菅氏の政治的人格は、周囲からは軽く、頼りなく見える。菅陣営には、菅氏を優れていると褒めちぎる議員は極めて少ないのが問題だ。小沢嫌いゆえに応援する議員が大半だろう。

 民主党政権は、極めて難しいことに取り組んだ。


 第一に、戦後例のない政権交代を実現、軌道に乗せる。


 第二に、政治主導の名の下に統治手法を変革する。


 この難事の実現は、毎日の日常を通じて、政府と党が絶えず方針を確認し、慎重に実務を進め、意思を疎通しあい、成果を確かめ、それを繰り返すことで新しい統治手法を固めながら、ゆっくりと進めるものだ。

 人事は重要だが、人事だけでは解決しない。互いに協力して仕事をする体制ができなければ、誰がやってもうまくいかない。しかも、体制づくりは、組織いじりだけでは駄目である。たとえば国家戦略室などという組織を設置することが切り札になるわけでもない。政権運営に必須なのは、政策を立案、遂行するための手順、仕事の流れを作り出せるかどうかだ。

 経済が長期停滞するなかで、人々は思い切った政策展開を望んでいるのかもしれない。だが、慌てふためいて、その場しのぎの政策を打ち出しても、問題を解決することはできない。


 民主党政権の現在の能力では、日本固有の問題に加えて、グローバル経済の複雑な影響を受けている現状をいっぺんに変えることなどできない。円高が困るからといって、誰が考えても、円を直ちに90円にする手段などないし、雇用、雇用と叫んでも、魔術のように失業者が低減するわけではない。したがって、腰を据えて、総合的に問題を解いていくことが一番大切なのだ。


 今やるべきは、政治的な意思と決断力を結集して、ダイナミックな予算編成をすることだ。自らが公約した歳出枠と国債発行枠を守りつつ、民主党の戦略を反映させた予算をきちんと編成し、政権担当の資格があることをまずは改めて示すことが求められる。政権に信頼性がなければ、どんな政策を打っても、経済を活性化することはできないからだ。