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原油高騰、ロシアは北方領土交渉で強気に 佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)

 中東の騒乱にはロシアにとってプラスとマイナスの両面がある。マイナス面はイスラム原理主義過激派が伸長し、その影響がチェチェンをはじめとする北カフカス地域に及ぶことだ。プラス面はリビアバーレーンなどの産油国の情勢が不安定になり、原油価格が上昇することだ。

 クレムリン(大統領府)、SVR(対外諜報庁)は中東情勢と原油価格の動向について、常に重点的にウオッチしている。それはソ連崩壊の苦い経験があるからだ。

現在のロシアは中東情勢と原油価格の動きを詳細に分析している。

 チュニジア、エジプトの騒乱までは、ロシアにとってプラスよりもマイナスの方が大きかった。それだからロシアも欧米と協調姿勢をとった。しかし、リビアバーレーンなどの産油国、さらに大産油国サウジと国境を接するイエメンに騒乱が拡大するに至り、原油価格の大幅な上昇が期待されるようになったので、プラスがマイナスを凌(りょう)駕(が)した。

 中東情勢は北方領土交渉にも影響を与える。ロシアの国章が双頭の鷲(わし)であることに象徴されるが、ロシアは東と西を同時ににらみながら国策を練る。中東情勢の不安定化により原油価格が上昇すると、日本は化石燃料大国であるロシアに依存することになると予測しているのであろう。それだから北方領土交渉で強気になっているのだ。