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「スタッフはダメよ、政治資金はダメよ、なんでもしっかり全部やれよ、という話は難しい」

 −−日本の金融政策について


 「日本の場合は、ゼロ金利を長年やっている。通貨の供給についても、可能な限りのことをやっていると思います。したがって、これ以上金融政策面で、どれだけの選択の幅があるかというと、それは割合少なくなっているのではないかと。通貨供給量をうんと増やしてゼロ金利、続けても現実に必要なところになかなか資金が流れない。特に、中小零細企業の資金繰りは非常に厳しい。競争力のある大手企業は自己資金が潤沢ですが、小さい、苦しいところにはお金が流れない。総量のうえではそういうことがなされて金利も低く、量も多くということをなされても、実態のほとんど日本経済を占める中小零細企業には、必要なところにはなかなか資金に流れないという実態面と、金融政策がとる幅が狭まってきているということで、それがまったくないとは言ってない。財政出動だけが必要とも申し上げたつもりはない。必要なことはやるべし」


 「それから、いわゆる所得再配分をもっと一般の勤労者のみなさんに手厚くするべきじゃないかと。また日本的雇用システムが小泉内閣のときに破壊されたので、この雇用の仕組み、あり方、将来に向けて日本社会の中で、安定して働いていける、見通しの持てるような雇用のシステムを再構築する必要があるのではないかと。やはり、景気には個人消費が一番に役割。日本で6割、アメリカで7割のGDPを占めている。この個人消費が伸びないと、本当の景気回復はできてこない。その意味で、所得の再配分をきちんとすべきだ。年金や医療、こういったセーフティーネットがきちんとしませんと、一生懸命働いて積み立てても、年金をもらえるかどうかわからないという状況では、これまた消費の拡大につながらないし、先行き不安でますます縮小してしまう。金融政策一本やりではなくて、そういった雇用や年金や医療の問題、所得再配分の問題、必要なインフラには公共投資もやるというトータルの経済対策が必要だと思う」

  −−菅政権のTPP推進の暴走についてどう考えているか


 「まず私は、基本的に自由貿易論者なので、なぜならば、自由貿易で一番利益を享受できるのは、日本であるということなので、自由貿易は可能な限り推し進めるべきだと思っております。ただ、その自由貿易を、自由競争をどんどん拡大していくためには、やはり、その準備、対応策をきちんと日本で国内でもっていないといけない。無制限な自由貿易は結局、弱肉強食の世界になってしまうので、それはどこの国でも同じことだ」


 「その雇用とか、年金とか、あるいは農林水産部門でのセーフティーネット、そういうものをきちんと構築したうえで、TPP、自由競争というものを可能な限り広げていることが筋論だと思う。今回のTPPっていうのは、内容もよく知らないが、菅さんが突然とみえる形で打ち出してきたわけでありますが、それについては多くの、たぶん中身を知れば知るほど多くの人が時期尚早、ないしは反対という結論になってしまうんじゃないだろうかと思う。農林水産業、特に、農業分野にだけのように多くの人、考えておりますが、おっしゃるとおり、あらゆる分野に渡る。そう簡単に『はいはい』というわけにはいかないだろうと思います」


 「もちろん、アメリカとの自由貿易協定もやるべきだと最初から議論してきたし、中身をきちんと知ったうえで国内的対応策もきちんとやって、そのうえでの自由競争は大いに結構なことだが、アメリカの議論も往々にして手前勝手なところもあるもんですから、そこはピシっと言うべきところは言いながら、時間かけて議論していくべきだと思う。拙速をすると、菅さんうんぬんじゃなくて、どの内閣、政府もたぶん命取りになるんじゃないかと。というのは、国民が知れば知るほど、現時点では、対応策のないままの現時点では、反対になるという可能性が強いと思ってます」

  −−民主党の一部で緩和の動きがあるが見解を。小沢氏はかつて金丸信自民党元副総裁がつくった「日本戦略研究センター」の会長を務め、緩和に賛成していたはずだが


 「形のうえでは会長をしていましたから、多くの、戦略研究所を構成する意見がそうであったということはそのとおりだと思う。会長であった以上、自分の責任の範囲であることは否定しないが、武器輸出というのは、ひとつは経済的な問題がひとつ。もうひとつは、大量生産しないとものすごくコストが高くなる面もある。ちっとずつ、ちっとずつ、作っていくと、飛行機だろうが船だろうがべらぼうな金額になる。両面があると思います」


 「ですから、そういう面で、特に、経済界や防衛関連のみなさんの中で強くなるということは知っておりますが、私はそのために武器輸出を広範に自由に認めていくべきだとは、ちょっと考えておりません。多少コストかかっても、ある程度は仕方がない。もうひとつはアメリカという、最も軍事産業の発達した同盟国がありますから、必要なものは買うことができるし、技術開発というのは常にやっていけることで、研究はできる。今、だんだん盛んになっている、経済界での議論には、私は全面的にくみすることができません」

  −−陸山会事件の裁判を傍聴した。被告人質問では、石川知裕衆院議員の場合、思いつきで行動されていたり、引き継ぎをちゃんとやっていないなどの話がある。もうちょっと(事務処理を)ちゃんとやってくれていたら、と思ったりするのか

 
 「会計報告の面だけじゃなくして、何の問題でもお互いにやればよかったなとか、そういう面はたくさんあるが、一方で政治家にすべてのことについて、完璧なことを望まれるんであれば、もっともっとスタッフを何十人も国民が認めてくれるとか、そういうことでないと。スタッフはダメよ、政治資金はダメよ、なんでもしっかり全部やれよ、という話は事実上、難しいので私としては、彼らなりに、いわゆる単純ミステイクはいっぱいあったと思いますが、精いっぱいやっていてくれていたんじゃないかと思っています」

 −−憲法で認めている三権分立は現在の日本ではきちんと機能しているのか


 「三権分立というよりも、日本では日本国憲法の理想とする、民主主義、議会制民主主義、その理解がまだ十分に浸透していないと思っているし、実態の議会政治の流れでも、それがきちんと確立していない、というのが私の思いだ。この半世紀ぶりの政権交代も、それをきっかけとして議会制民主主義を日本に定着させたいというのが私の大きな大きな願いのひとつ。したがってなお、道遠しでありますけども、民主主義の定着のために最大の努力をしてまいりたい」